落語 ろくろ首のあらすじ 江戸時代見世物にもあったろくろ首
ろくろ首
二十五になっても母親と二人暮らしの与太郎がお嫁さんがほしいと伯父さんに相談する。
結婚している兄と嫁の生活を見てどうやら羨ましくなった様子
与太郎と伯父さんのやり取りを見ていた伯母さんがなにやらヒソヒソと耳打ちをする
伯父さん:
「そんなに嫁がほしいなら いい縁談がある。相手の歳は二十歳だし器量もいい、両親はいないが広い家も金もある」
与太郎:
「そんないい話うますぎやしませんか」
伯父さん:
「その通り 一つだけ傷があって、丑の刻になると首がスゥ~っと伸びて行灯の油をベロベロ舐めるんだ」
与太郎:
「伯父さんそれじゃあろくろ首じゃないか」
伯父さん:
「そうだ だがおまえは一度寝たら朝まで起きないしいいじゃねーか」
結局一度会ってみることに
きちんと挨拶ができるか心配な与太郎だったが美人の娘さんをすっかり気に入り縁談は無事にまとまった。
そして婚礼後 最初の夜になった。ドキドキしているのと、布団が変わってさすがに寝つきの悪い与太郎。寝られないうちに とうとう丑の刻になる
すると隣で寝ているお嫁さんの首がスーッ
与太郎:
「の、の、伸びたー!」
慌てて屋敷を飛び出し伯父さんのところへ向かう与太郎
与太郎:
「お、伯父さん伸びました!」
伯父さん:
「そんなのわかってて嫁にもらったんだろう?」
与太郎:
「もう怖い家に帰りたい」
とメソメソと泣く与太郎
伯父さん:
「何言ってんだおまえの母親だって、いい知らせが聞けるかって首を長くして待ってるんだ」
与太郎:
「何?大変だそれじゃあ家にも怖くて帰れねえ」
江戸時代の見世物について
明暦の大火以降、火除け地が作られるとそこには出店や見世物小屋が出て周辺は大変賑わいました。
中でも見世物は手を代え品を代え様々なものがあったようです。庶民が驚いたものというと徳川吉宗が異国から取り寄せた像や虎を民間に払い下げたもの。
またくだらないダジャレのものもあったようです。
※大きな板に血がついていてオオイタチ、顔に炭を塗って河童と称したり、ろくろ首も作り物の身体と暗幕を利用して首が伸びたように見せかけるトリックで人を楽しませたようです。
インチキくさい見世物も入場料が四文ほどと安く、シャレで済んだのも人が集まった要因だと思われます。
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