*

落語 黄金餅のあらすじ 西念が飲み込んだ金について

公開日: : 最終更新日:2020/06/20 怪談噺 , ,

黄金餅

ケチ坊主の西念が病で寝込んでいると聞いて隣に住む金兵衛が見舞いに来る

「医者に見てもらったか?薬は飲んだか?」とたずねるが、西念は

「金がかかるからそんなものはいらない」という
黄金餅薬
「じゃあ何か食べたいものは?」と金兵衛が聞くと

西念:
「あんころ餅が食べたいが金がもったいない。金兵衛さんが言いだしっぺなんだから買ってきてください」

まったくしょうがない奴だなと言いながらも買ってきてやる金兵衛

しかも人が見ている前では食えないと勝手放題の西念

どうにも西念の行動が気になる金兵衛は隣の自分の部屋に帰ると錐(きり)で壁に穴を開けてそこから様子を窺った。

見られているとは気付いていない西念は先程のあんころ餅から餡子を取り除くと、胴巻きから金を取り出して餅にくるんで飲み込み始めた。

金兵衛:
「西念のやつ 貯め込んだ金をあの世に持ってくつもりか?」

すべての金を飲み込んだ西念だったが、そのうち苦しみ始める。

慌てて金兵衛は駆けつけたが西念は息絶えてしまう。
息絶える西念
なんとか金を手に入れたい金兵衛は大家さんの元へ

金兵衛:
「隣の西念さんが亡くなりまして、葬式のことは私に一切任せると言い残されました」

すぐに棺桶を手配すると みんな忙しいから今日中に弔いを済ませようと長屋の連中に棺桶を担がせて菩提寺のある麻布絶口釜無村の木蓮寺へ

酔っ払った坊主にお経をあげてもらい弔いが済むと長屋の連中を帰らせて金兵衛一人で焼き場へ向かう
弔い
金兵衛:
「お~いこの仏を焼いてくれ ただし遺言で腹だけは生焼けにしてくれ」

無茶なお願いをして自分は近くの飲み屋へ

そして明け方戻ってくると、用意していた包丁をグサりと西念の腹に突き立てる

金兵衛:
「あったあったこれだ!」

腹からは金がザクザク

金兵衛はこの金を元手にして餅屋を出しました。たいそう繁盛したと言うことです。

黄金餅由来の噺

西念が飲み込んだ金とは?

猫の皿払った三両
貯めこんでいた金というと小判を連想してしまいますが、天保8年より鋳造された天保小判のサイズが縦5.9cm×横3.2cmほど

餅に包んで飲み込むには厳しいサイズと考えられます。

同じ金でも飲み込むなら一分金あたり サイズは時期によって異なりますが2.3cm×1.4cmほど
(一朱金というもっと小さいものもありましたが、金の純度が低く金としての価値も低い)

これなら頑張れば飲み込めそうです^_^;

余談ですが江戸時代一分と一分というものが存在しており同等の価値がありました。

これが外国人に目をつけられて日本国内から外国へ金が流出する原因になってしまうのですがそれはまたの機会に

落語一覧へ



関連記事

落語 猫の災難のあらすじ

猫の災難 酒は飲みたいが買う金はない そんな八五郎のところへ猫が鯛の頭をくわえてやってきた。猫

記事を読む

落語 そば清のあらすじ オチと江戸時代に残る大食い記録について

そば清 そばなら何杯でも食べることができると豪語する旅商人の清兵衛 その見事なそばの食べっぷ

記事を読む

落語 お菊の皿(皿屋敷)のあらすじ どこにあるのかお菊の井戸

お菊の皿(皿屋敷) 町内のヒマな若い衆がご隠居の元をたずねる。目的は「今度皆で肝試しをしたいが

記事を読む

死神

落語 死神のあらすじ 江戸時代の医者について

死神 金にまったく縁がないくせに、借金だけは山のように抱え途方にくれる男。いっそのこと死んじま

記事を読む

石川五右衛門

落語 お血脈のあらすじ 大泥棒石川五右衛門は実在した?

お血脈 信州の善光寺にはありがたい「血脈の印」というものがある。 これを額に押してもらうと、

記事を読む

落語 野ざらしのあらすじ オチの馬の骨だったか!の意味とは?

野ざらし 長屋の八五郎が隣に住む先生の元をたずねる。 昨晩先生と一緒にいた女は誰なのか?

記事を読む

夜

落語 首提灯のあらすじ 時代劇でお馴染み斬り捨て御免について

首提灯 深夜 芝増上寺の辺りを男が一人で歩いている 男は酒を飲んでいるようで足元がおぼつかない

記事を読む

落語 化け物使いのあらすじ 驚愕の奉公人の年間休日数とは?

化け物使い 人使いの荒いことで有名なあるご隠居 朝から晩まで働きづめにさせるせいで 紹介され

記事を読む

たがや

落語 たが屋のあらすじ 花火の掛け声た~まや~について

たがや 両国橋は花火見物の客でごったがえしている。その混雑の中へあろうことか馬に乗った侍と共侍

記事を読む

湯のみ

落語 もう半分のあらすじ

もう半分 夫婦で営む居酒屋に湯飲みに酒を半分ずつ注文する老人が毎日やってくる。 ある日、

記事を読む

Message

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

落語 野ざらしのあらすじ オチの馬の骨だったか!の意味とは?

野ざらし 長屋の八五郎が隣に住む先生の元をたずねる。 昨晩

落語 化け物使いのあらすじ 驚愕の奉公人の年間休日数とは?

化け物使い 人使いの荒いことで有名なあるご隠居 朝から晩まで働

馬
落語 付き馬のあらすじ オチの馬に行けとは?遊郭での勘定のルール

付き馬 吉原遊郭のある店に金持ち風の男がと登楼してくる。その晩

落語 黄金餅のあらすじ 西念が飲み込んだ金について

黄金餅 ケチ坊主の西念が病で寝込んでいると聞いて隣に住む金兵衛が

金蔵
落語 味噌蔵のあらすじ 防火対策の目塗りとは?

味噌蔵 ケチで有名な商屋の旦那の奥さんに男の子が生まれたというと

→もっと見る

PAGE TOP ↑