*

落語 千早振るのあらすじ 江戸時代の豆腐事情とは

公開日: : 最終更新日:2019/06/21 滑稽噺 , , ,

千早振る

ご隠居のところに熊さんが血相を変えて転がり込んでくる。

娘が百人一首に凝りだして、在原業平の
「千早振る 神代もきかず竜田川 唐紅に 水くくるとは」
という和歌の意味を聞いてきた。

わからないなんて父親の沽券にかかわるから、厠に入るふりをして窓を破って逃げてきたという。

是非ご隠居の知恵をお借りしたいというが、聞いた相手が悪かった。

ご隠居も素直に知らないとは言えない性格で、いいかげんな説明がはじまる

ご隠居:
「まず竜田川だが これを川だと勘違いしているところが おまえさんの浅ましいところだ

竜田川は大関にまで上り詰めた相撲取りの名前
竜田川
相撲一筋だった竜田川が吉原の女郎 千早大夫に惚れてしまったが、あえなく振られる これで千早振る

千早太夫がダメならと妹女郎の神代はどうだと声をかけるが、神代も言うことを聞かない

これで神代もきかずだな
花魁
さらにこの一件は皆の知るところとなり、竜田川が土俵に上がるたびに”振られ大関~”と野次が飛ぶ

傷心で相撲に身が入らないし、お抱えの殿様にも顔向けできない竜田川は国元に帰って豆腐屋をはじめた」
豆腐
熊:
「ちょっと待って下さい。大関がいきなり豆腐屋ですか?」
ご隠居:
「まあ聞きなさい」

ある日店番をしているとぼろ布のような着物を着た女が店頭に立つ

女:
「おからを分けてくれませんか しばらく何も食べていないのです」
竜田川:
「おからくらいいくらでもお上がんなさい」

と竜田川が女の顔を見ると、なんと落ちぶれた千早太夫の成れの果てだった

熊:
「今度は太夫がいきなり物乞いですか?」
ご隠居:
「いいから最後まで聞きなさい」

竜田川は相撲を続けられなくなったのは千早のせいだと恨みに思っていたから、おからをくれるどころかド~ンと千早を突き飛ばす。

おからがもらえず、これでからくれない

突き飛ばされた千早は自分の行く末を悲観して井戸に身を投げてしまった。
井戸
ご隠居「井戸に身を投げたから 水くくるだ」

といつの間にか和歌が相撲取りと遊女の愛憎劇に

熊:
「でもとわはどこいったんです?」
ご隠居:
とわくらいまけとけ」
熊:
「いやそういうわけにはいきません」
ご隠居:
「あ!思い出したとはは千早の本名だった

噺の和歌の意味

紅葉

さまざまな不思議なことが起こっていたという神代の昔でさえも、
こんなことは聞いたことがない。龍田川が(一面に紅葉が浮
いて)真っ赤な紅色に、水をしぼり染めにしているとは

ちなみに竜田川は言うまでもなく相撲取りの名前ではありません^^;
奈良県斑鳩町を流れる一級河川です。

江戸時代の豆腐事情について

江戸の三白と言って白米、大根と並んで豆腐は江戸っ子の好物で 現代のものとは異なりギュッっと詰まった固いもので、1丁食べれば満腹になったといいます。

また豆腐料理だけを集めた豆腐百珍というレシピ本も発行されていました。

豆腐屋の多くは旦那が行商で売り歩いていたといいます。店舗が構えられるということは竜田川は裕福だったのでしょうか。(もちろんご隠居の妄想の人物ですが)

今では豆腐の専門店は少なくなりましたが、昔はおからは店頭にうずたかく積まれていたといいます。

また、おからは農家では家畜の飼料としても需要がありました。今では産業廃棄物として逆にお金を払って廃棄しているとか。もったいない話です。

落語一覧へ



関連記事

落語 長短のあらすじ 江戸時代の煙草と喫煙率について

長短 長助と短七の二人は仲のいい友達なのだが性格は正反対。長助は昔からのんびり屋で気が長く、短七は

記事を読む

落語 宗論のあらすじ 宗論はどちらが勝っても釈迦の恥

宗論 店が忙しいというのに若旦那が朝から姿を見せない。 番頭の話によると どうやら若旦那はキ

記事を読む

落語 三枚起請のあらすじ オチの朝寝がしてみたいの意味と起請文とは?

三枚起請 吉原の花魁にいれこんでいる猪之(いの) それを棟梁が「本気になるなと」釘を刺すが、猪

記事を読む

山登り

落語 愛宕山のあらすじ かわらけ投げについて

愛宕山 旦那のお供で京都へ行くことになった幇間(太鼓もち)の一八。愛宕山へ登ることになったが、

記事を読む

落語 茶の湯のあらすじ 江戸時代の隠居年齢は?

茶の湯 さる大店の主人が店を息子に任せて隠居することになる。そこで根岸に隠居用の屋敷を建て、身の回

記事を読む

長屋

落語 小言幸兵衛(こごとこうべえ)のあらすじ 江戸時代の大家の仕事について

小言幸兵衛 小言ばかり言っているのでみんなから"小言幸兵衛"とあだ名を付けられている長屋の大家

記事を読む

子はかすがい大工

落語 大工調べのあらすじ ラスト(オチ)の細工は流々…って何?

大工調べ ちょっと抜けている大工の与太郎 仕事があるというのに近頃まったく現場に出てこない

記事を読む

相談

落語 あくび指南のあらすじ 江戸時代人気のあった習い事とは?

あくび指南 町内にできた「あくび指南」の道場の看板を見て、新しいもの好きの男が興味を持つ ただ一

記事を読む

落語 素人鰻(殿様鰻)のあらすじ 実は歓迎された?武士の商売について

素人鰻 江戸から明治の世となり武士は士族と呼び名が変わる。幕府もなくなり自分で商売をしようと考

記事を読む

天狗裁き

落語 天狗裁きあらすじ

天狗裁き 亭主の熊が昼寝をしながらブツブツと寝言を言っているのを女房のおみつが見ている。

記事を読む

Message

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

落語 野ざらしのあらすじ オチの馬の骨だったか!の意味とは?

野ざらし 長屋の八五郎が隣に住む先生の元をたずねる。 昨晩

落語 化け物使いのあらすじ 驚愕の奉公人の年間休日数とは?

化け物使い 人使いの荒いことで有名なあるご隠居 朝から晩まで働

馬
落語 付き馬のあらすじ オチの馬に行けとは?

付き馬 吉原のある店に金持ち風の男がと登楼してくる。その晩 男は

落語 黄金餅のあらすじ 西念が飲み込んだ金について

黄金餅 ケチ坊主の西念が病で寝込んでいると聞いて隣に住む金兵衛が

金蔵
落語 味噌蔵のあらすじ 防火対策の目塗りとは?

味噌蔵 ケチで有名な商屋の旦那の奥さんに男の子が生まれたというと

→もっと見る

PAGE TOP ↑