落語 道灌のあらすじ 太田道灌は和歌に疎かった?
道灌
ご隠居のところへやってきた長屋の八っつあん。今日も馬鹿話をしている。そのうち絵の話になり、やがてご隠居の家に飾ってある屏風の話になる。
その屏風に描かれていたのは太田道灌が鷹狩りの途中、突然の雨に降られ民家で雨具を借りようとしたところ、その家の奥方が「お恥ずかしい」と山吹の枝を差し出した場面だった。
八:
「この女はおかしいですねえ。山吹の枝なんかで雨がしのげるわけがない」
ご隠居:
「これは古い歌に由来していて『七重八重 花は咲けども 山吹の 実のひとつだになきぞ悲しき』『実のひとつだに』と雨具の『蓑』をかけて、この家には恥ずかしながらお貸し出来る蓑ひとつもございませんといってるんだよ」
太田道灌もこの歌による謎掛けが解けずに恥じ入り、その後精進して和歌にも精通した文武両道の人となったという。
ご隠居に教えてもらった八っつあんは意味もわからず”ヤエナナエ~”が気に入ってしまい自分も真似したくて仕方がない。
八っつあんはその歌を紙に書いてもらい、家に雨具を借りに来た人に披露してやろうと目論む
八っつあんが家に戻るとちょうど雨が降ってきた。手ぐすねを引いて待っていると、長屋の熊公が雨具を借りに来る
熊公:
「おう八っつあん ちょっと貸してもらいてえものがあるんだが」
八:
「待ってました!雨具だろ?」
熊公:
「いや雨具はあるんだ 暗くなってきたから提灯を貸してくれ」
となんだか筋書き通りにいかない
八:
「雨具を貸してくれと言ったら、提灯を貸してやる」
熊公:
「なんでえ、そりゃしょうがねえ。それじゃ雨具を貸してくれ」
八っつあんはしてやったりと書いてもらった歌を読むが読み方がでたらめ
熊公:
「八っつあん なんだいそいつは?都都逸かなんかかい?」
八:
「都都逸?お前は歌道に暗いなあ」
熊公:
「だから提灯を借りに来たんだ」
山吹の花について
黄色い花で一重のものと八重咲きのものがあり、見ごろは4月~5月頃。万葉集などにも登場し、よく季語に用いられます。
高貴な花ということで平安時代には庭に植えられていたそうです。
太田道灌について
太田道灌は室町時代末期の知勇兼備の武将。江戸城を築城したことでも名高い人物。
登場する「八重七重~」は平安時代の後拾遺和歌集におさめられている和歌
この山吹の逸話は歌舞伎の歌徳恵山吹(うたのとくめぐみのやまぶき)登場する話。
和歌の意味と奥方の意図がわからず恥じたとされていますが、太田道灌の父親の道真は連歌の名手として知られており、道灌自身も幼い頃から秀才と言われた人物。
和歌と差し出された山吹の意味が理解できなかったとは考えにくい。
また、この逸話が書物に登場するのが道灌の死後200年ほどたった18世紀中ごろの「常山紀談」あたりからで、落語として登場する前から創作された話だと考えられています。
百人一首や和歌が登場する噺は他には「崇徳院」や「千早振る」などがあります。
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