*

落語 小間物屋政談のあらすじ サゲのしょい(背負い)とは?

公開日: : 最終更新日:2019/05/07 人情噺, 分かりにくい落ち, 滑稽噺 , , , , ,

小間物屋政談

働き者で評判の小間物屋 相生屋小四郎。
江戸から上方へ行商に行くことを伝えるため大家さんの元を訪ねた
小四郎は自分が留守の間、女房のおときのことが気がかりな様子

大家:
「安心しなさい。私がちょくちょく顔を出して変な虫がつかないか見張っておくよ」

大家さんにおときのことを頼んで安心して旅に出る小四郎だが
小田原を出たところで事件に出くわしてしまう。林の中で縛られている人を発見したのだ。
林
その人の縄を説いてやるとなんと同業者 神谷町の大店の店主 若狭屋甚兵衛だという。気の毒に思った小四郎は甚兵衛に自分の普段着の茶弁慶の着物と路銀を貸してやる

甚兵衛:
「ありがとうございます。あなたはこれから上方ですか。私は江戸に戻ったらお借りしたお金を留守宅に返しに参りますから、住まいを教えてください」

そこで小四郎は「京橋源兵衛店相生屋小四郎」と書付を渡すと、甚兵衛はそれを服の袂にしまい「お互いご無事で」と、その場は分かれた。

甚兵衛は江戸への帰り道、小田原へ着くと宿に入るが、たまたま客が重なったのと身なりがよくなかったため、宿帳も取らずに粗末な部屋に通されてしまった。

その晩甚兵衛は山中での寒さが堪えたのと元々身体が弱かったこともあり、体調を崩してしまう。
女中が看病をするが、ない寿命とみえて夜中に息を引き取ってしまった。
布団
亡くなってしまった上に、宿帳を取ってないのでどこの誰だかわからない。仕方がないので宿の者が甚兵衛の着物を探ってみると「京橋源兵衛店相生屋小四郎」という書付が出てくる。
「ああこれがこの人の名前と住まいだ」と宿の主人は使いのものを走らせる

小四郎が死んだという知らせを聞いてワッと泣き出す女房のおとき
遺体を検めに行かないといけないがどうもそんな状態ではない
大家さんが代わりに本当に小四郎なのか検めに行くことになる。

宿のついた大家さんだったが、なんせ日が経っているので何だか嫌な匂いがする。いくら大家と言えば親も同然といっても、そんな遺体にあまり近づきたくない。

遠くから見ると小四郎と背格好が似ているのと普段着にしている茶弁慶の着物を着ていたので「これは小四郎に間違いない」と判断。仏さんを火葬して長屋に戻り弔いをすませた。

一月ほど経ったある日「まだ早い」というおときに強引に縁談をすすめる大家さん

大家:
「こういうのは早い方がいい。ボヤボヤしてると変な男が寄ってくるから。おまえが幸せになるのが小四郎への一番の供養だし、いい相手がいるんだ」

と話を聞いているうちに説き伏せられてしまう。
相手は小四郎の従兄弟の三五郎で最初は抵抗のあったおときだったが三五郎の優しいこと。すっかり仲のいい夫婦が出来上がってしまった。

そしてある晩のこと
夜
小四郎:
「おとき開けとくれ、おとき」

死んだと思っていた小四郎が帰ってきてしまい関係者は大慌て
小四郎から小田原で茶弁慶の着物と書付を若狭屋甚兵衛に渡したことを聞くうちに大家さんは勘違いに気付く

大家さんはおときに事情を説明して小四郎と元の夫婦に戻そうとするが、おときは三五郎の方を選んでしまう。女房も家も失った小四郎に

大家:
「小四郎 なったもんは仕方ないあきらめろ」

大家さんに留守中のことは頼んでいったのに、納得のいかない小四郎は奉行所に訴え出る

お白洲に並ぶ小四郎たち。裁くのは名奉行大岡越前守だが
奉行
その名奉行にも小四郎は

大岡:
「そちはもう一度旅に出よ。旅はいいぞ」

と言われ自暴自棄になって悪態をつく。
次に聞き取りが行われたのは、若狭屋甚兵衛の未亡人であるヨシ

大岡はヨシに若狭屋の使用人は何人いる?甚兵衛との間に子はおるか?と聞いていくと、小四郎は若狭屋のとんでもない金額の財産に目をパチパチするばかり
金蔵
そして最後に

大岡:
「甚兵衛に情けを掛けた小四郎が今このように路頭に迷っておる。ヨシ そちは小四郎と夫婦になるつもりはないか?」

ヨシ:
「はい。小四郎様も私と同じ小間物屋。これも仏のお導きと思います」

小四郎が隣に座るヨシの姿を見るとその美しいこと おときとは比べ物にならない

もうおときのことはどうでもよくなった小四郎は

小四郎:
「はい私が今日から若狭屋甚兵衛になります。大岡様ありがとうございます、ありがとうございます」

さっきまで悪態をついていたのにそれはどこへやら

小四郎:
「大岡様はやはり名奉行だ。この小四郎 このご恩は生涯しょいきれません」
大岡:
「小四郎そなたは今日から若狭屋甚兵衛じゃ。しょう(背負う)には及ばん

小間物屋とは

小間物かんざし
文字にしないとわかりにくいサゲですが、おまえは大店の店主になるんだから背負い(しょい)で行商に出る必要はないぞという意味になります。

小間物屋とは女性用に櫛、笄(こうがい)、化粧品を扱った業者
店頭で販売するものと、行商で売り歩く背負い(しょい)に分けられた。

女性用の商品を扱うだけあって、色男が多かったといわれています。
この辺りは現代にも通じる部分ではないでしょうか。

落語一覧へ

関連記事

大山詣り

落語 大山詣りのあらすじ 江戸時代の行楽だった寺社参拝

大山詣り 長屋の男衆が揃って大山詣りに出かけることになった。行楽半分、信心半分の旅ではあるが、

記事を読む

抜け雀

落語 抜け雀のあらすじ 駕籠かきとはどんな職業だったか

抜け雀 とある宿場町の宿屋に汚い身なりで泊まった若い男。 男は毎日酒を飲んで外に一歩も出

記事を読む

高田馬場

落語 高田馬場のあらすじ 人気があった敵討ちについて

高田の馬場 浅草奥山観音様の境内、参拝客を当て込んだ出店や大道芸などを目当てに訪れる観光客もあって

記事を読む

長屋

落語 粗忽長屋のあらすじ 色々なランクがある長屋について

粗忽長屋 そそっかしい八五郎が浅草の観音様にお参りした帰り道 人だかりが出来ているのに出くわす

記事を読む

火事息子

落語 火事息子のあらすじ 町火消しと定火消しの違いとは

火事息子 火事好きが高じて町火消しになりたいという質屋の若旦那。 大旦那は一人息子にそんなに

記事を読む

三年目の幽霊

落語 三年目のあらすじ 死者の髪の毛を剃る意味とは?

三年目 病気の妻をやさしい夫が一生懸命に看病するが、一向によくならない。 自分の死が近づいて

記事を読む

紙入れ

落語 紙入れのあらすじ 命がけだった江戸時代の不倫

紙入 出入り業者の新吉のところに得意先のおかみさんから手紙が届く 今晩は旦那が帰らないから云

記事を読む

袈裟

落語 錦の袈裟のあらすじ 袈裟の種類と寄付者について

錦の袈裟 町の兄貴分が若い衆を集める。なんでも隣町の若い衆が揃いの縮緬の長襦袢で吉原に繰り出し

記事を読む

文七元結

落語 文七元結のあらすじ 文七が身を投げる決意をした金額について

文七元結 長屋に住む長兵衛は左官屋として確かな腕前を持ちながら、博打に目がなく、仕事をそっちのけに

記事を読む

落語 野ざらしのあらすじ オチの馬の骨だったか!の意味とは?

野ざらし 長屋の八五郎が隣に住む先生の元をたずねる。 昨晩先生と一緒にいた女は誰なのか?

記事を読む

Message

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

落語 野ざらしのあらすじ オチの馬の骨だったか!の意味とは?

野ざらし 長屋の八五郎が隣に住む先生の元をたずねる。 昨晩

落語 化け物使いのあらすじ 驚愕の奉公人の年間休日数とは?

化け物使い 人使いの荒いことで有名なあるご隠居 朝から晩まで働

馬
落語 付き馬のあらすじ オチの馬に行けとは?

付き馬 吉原のある店に金持ち風の男がと登楼してくる。その晩 男は

落語 黄金餅のあらすじ 西念が飲み込んだ金について

黄金餅 ケチ坊主の西念が病で寝込んでいると聞いて隣に住む金兵衛が

金蔵
落語 味噌蔵のあらすじ 防火対策の目塗りとは?

味噌蔵 ケチで有名な商屋の旦那の奥さんに男の子が生まれたというと

→もっと見る

PAGE TOP ↑