*

落語 小言幸兵衛(こごとこうべえ)のあらすじ 江戸時代の大家の仕事について

公開日: : 最終更新日:2019/10/06 分かりにくい落ち, 滑稽噺 , ,

小言幸兵衛

小言ばかり言っているのでみんなから”小言幸兵衛”とあだ名を付けられている長屋の大家の幸兵衛

家を貸すのが仕事のくせに家を借りたいという人が現れても小言ばかり
そのせいで長屋はいつでも空き部屋がある
小言幸兵衛長屋
その幸兵衛のところへ今日も入居希望者がやってきた

幸兵衛:
「職業は?家族構成は?」

根掘り葉掘り聞く幸兵衛

相手が少しでも気に入らない返事をすると、たちまち「口の利き方がなってない」と小言の嵐、相手はさんざん悪態をついて去って行った。

それと入れ替わりにやってきたのは礼儀正しい男

男の職業は仕立て屋で最初は機嫌よく対応した幸兵衛だったが

仕立て屋がうっかり言ってしまった「倅は腕のいい職人で美男子です」という言葉から様子が変わる

幸兵衛:
「腕がよくて美男子、それでいて独り身とはどうも困ったねえ、この長屋に心中が起こるんだよ」

仕立て屋には理由がさっぱりわからない

そこで幸兵衛が説明を始める。

幸兵衛:
「同じ長屋に19歳の古着屋の娘が住んでいて大変器量が良い。腕がよくて美男子しかも独り身の男がこれをほうっておくわけがない。
小言幸兵衛娘
あんたの息子は古着屋のいない間に勝手に家に上がりこむだろう。通っているうちに 二人の間に子供ができてしまい、結婚するしないの話になる。

すると古着屋は一人娘。あんたの息子を養子にくれと言うがいいのかい?」

仕立て屋:
「こちらも一人息子の跡取りですので」
幸兵衛:
「だろう?そこで両家で大揉めになる。板ばさみになった二人は心中してしまう。こうなったのもおまえさんのせいだ」

とんでもない説明に仕立て屋も逃げるように帰ってしまう。

続いて三人目の男がやってくる。この男はやけに威勢がいい

男:
「おう、邪魔するよ。あんたが大家か?俺はここに住むことにしたからな。しかし狭い長屋だな 昼過ぎには越してくるからな うるせえガタガタいうない」

幸兵衛はたじたじになりながらも

幸兵衛:
「なんて乱暴な ところでおまえさんの職業は?」
男:
「ん?俺は鉄砲鍛冶屋だ」
幸兵衛:
「そうかどうりでポンポンいい通しだ

オチと江戸時代の大家の仕事について

職業鉄砲鍛冶の男が鉄砲を連続で発射する音と一方的に話し続ける様子をオチにしたもの。

現代では大家というと借家のオーナーを連想しますが、落語によく登場する江戸時代の大家は、地主とか家持(いえもち)と呼ばれる長屋の所有者に雇われた管理人を指します。

役割には家賃を集めるだけではなく、戸籍の管理、お触れの店子への通達、防犯などがありました。

通常、大家は長屋の一部屋を無料で借りて住んでおり、近くに住んで住人を見張るといった意味もあったようです。

噺に登場する大家の幸兵衛は入居希望者の職業や家族構成を気にしますが、長屋の住人から犯罪者が出ると責任を問われ連座にされることもあったため選定も重要な仕事でした。

噺は脚色されているにしても身元確認は慎重にならざるを得ないという一面もあったのではないでしょうか。

落語一覧へ




関連記事

饅頭怖い

落語 饅頭怖いのあらすじ

饅頭怖い 今日も長屋の若い者たちが集まって馬鹿話に花を咲かせていると一人血相を変えて飛び込んで

記事を読む

骨董

落語 金明竹(きんめいちく)のあらすじ 出てくる道具は何なのか?

金明竹 甥っ子の松公を預かることになった道具屋の主人だったが 松公はどこか抜けていて、何をやら

記事を読む

落語 茶の湯のあらすじ 江戸時代の隠居年齢は?

茶の湯 さる大店の主人が店を息子に任せて隠居することになる。そこで根岸に隠居用の屋敷を建て、身の回

記事を読む

酒

落語 親子酒のあらすじ

親子酒 いつも酒を飲みすぎてしまう商家の旦那と若旦那。酒を飲みすぎては失敗して後悔ばかりしてい

記事を読む

落語 ぞろぞろのあらすじ 雨の日に履かれたのは草履?

ぞろぞろ 少々荒れ果てたお稲荷さんの隣で茶屋を営んでいる老夫婦。茶屋だけではたいした儲けになら

記事を読む

落語 お菊の皿(皿屋敷)のあらすじ どこにあるのかお菊の井戸

お菊の皿(皿屋敷) 町内のヒマな若い衆がご隠居の元をたずねる。目的は「今度皆で肝試しをしたいが

記事を読む

落語 松山鏡のあらすじ 死んだ人に会うにはどうする?

松山鏡 松山村に住む正直なことで評判な正助 その評判は殿様の耳に入り 殿様はぜひ会いたい

記事を読む

紙入れ

落語 紙入れのあらすじ 命がけだった江戸時代の不倫

紙入 出入り業者の新吉のところに得意先のおかみさんから手紙が届く 今晩は旦那が帰らないから云

記事を読む

大山詣り

落語 大山詣りのあらすじ 江戸時代の行楽だった寺社参拝

大山詣り 長屋の男衆が揃って大山詣りに出かけることになった。行楽半分、信心半分の旅ではあるが、

記事を読む

落語 長短のあらすじ 江戸時代の煙草と喫煙率について

長短 長助と短七の二人は仲のいい友達なのだが性格は正反対。長助は昔からのんびり屋で気が長く、短七は

記事を読む

Message

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

落語 野ざらしのあらすじ オチの馬の骨だったか!の意味とは?

野ざらし 長屋の八五郎が隣に住む先生の元をたずねる。 昨晩

落語 化け物使いのあらすじ 驚愕の奉公人の年間休日数とは?

化け物使い 人使いの荒いことで有名なあるご隠居 朝から晩まで働

馬
落語 付き馬のあらすじ オチの馬に行けとは?

付き馬 吉原のある店に金持ち風の男がと登楼してくる。その晩 男は

落語 黄金餅のあらすじ 西念が飲み込んだ金について

黄金餅 ケチ坊主の西念が病で寝込んでいると聞いて隣に住む金兵衛が

金蔵
落語 味噌蔵のあらすじ 防火対策の目塗りとは?

味噌蔵 ケチで有名な商屋の旦那の奥さんに男の子が生まれたというと

→もっと見る

PAGE TOP ↑