*

落語 二番煎じのあらすじ 江戸時代の治安維持のシステムとは

公開日: : 最終更新日:2020/03/30 分かりにくい落ち, 滑稽噺 ,

二番煎じ

寒い夜に番小屋に町の旦那衆が夜回りのために集まっている。

夜回りのために外に出てみたものの寒くて仕方がない

ブルブル震えながら

「火の用心~」
拍子木
寒くて声は消え入りそうだし、拍子木を懐に入れたまま叩くというありさま。まったく音が聞こえやしない。

他の者も似たようなもので寒い寒いと肩をすぼめて歩いているだけで、まったく夜回りの意味がない。

やっと町内を一回りしてきて番小屋に戻ってくると皆が一斉に火の回りに集まった。
火
すると旦那の一人が懐から瓢箪をこっそりと取り出す。家の者が風邪をひかないように持たせたのだという。

「酒はいけないよ」

と別の旦那がいうが内心はそうは思っていない。他の者もちゃっかり酒や鍋の具材を持ってきており、中には土鍋を背負ってきた強者も。

それを合わせていつのまにか酒盛りの準備ができあがる。番小屋での飲酒はご法度だが、煎じ薬ということにしてしまおうということで話はまとまってしまう。

役人の見回りに見つかると大変だが 戸に心張棒を立ててどんちゃん騒ぎが始まった。
なべ
ドンドンドン

役人:
「戸を開けぬか」

そこへタイミング悪く役人が見回りにきてしまい、急いで隠したが土瓶に入れた酒を見られてしまう。

役人:
「これはなんだ?」

と聞かれとっさに

旦那:
「風邪を引いたので煎じ薬でございます」

役人:
「ちょうどよい私も風邪を引いておるので一杯もらおう」

飲まれたらウソがバレてしまうとドキドキしながら湯飲みを差し出す
湯のみ
役人は一口飲んでニヤりとする

役人:
「ほほう これはいい煎じ薬だ」

結局咎められなかったが、酒はすべて飲まれ、鍋もあらかた食べられてしまう

役人:
「煎じ薬はもうないのか?」

旦那:
「もうありません」

そこで役人が

役人:
「ならば私は一回りしてくるから二番を煎じておくように

※二番煎じ:一度煎じた薬草に水を足して煮出した薄くなった薬のこと。お茶の出がらしをさす場合も

治安維持のために設置された番小屋

江戸時代庶民たちによる町内の治安を守るシステムがありました。

各町内に配置された警備のために、木戸番と自身番という詰め所があり、噺に登場するのは自身番のほうです。

最初は地主自身が交代で番所に詰めていたことから自身番と呼ばれるようになり、時代が下ってくると大家(長屋の管理人)や町で雇った番人が詰めるようになりました。

見回りのほか不審者を捕らえて留めておき、奉行所に差し出したり、取調べのようなことも行われ交番兼留置所のような役割も果たしました。
火の見櫓
また自身番の多くは火の見櫓が併設されていて、火事を発見したら半鐘を打ち鳴らす役割があり、噺の中ではのんきに見えますが責任は重大で、飲酒がご法度というのもうなずける話です。

落語一覧へ

関連記事

落語 宿屋の敵討のあらすじ 敵討ちのルール色々

宿屋の敵討ち 宿場町の旅籠に一人旅の武士が泊まりに来た。疲れているので静かな部屋を所望するとさ

記事を読む

大山詣り念仏

蒟蒻問答(こんにゃくもんどう)のあらすじ 修行僧について

蒟蒻問答 昔はやくざ者だったが今ではすっかり足を洗い蒟蒻屋を営んでいる六兵衛。足を洗ったという

記事を読む

骨董

落語 金明竹(きんめいちく)のあらすじ 出てくる道具は何なのか?

金明竹 甥っ子の松公を預かることになった道具屋の主人だったが 松公はどこか抜けていて、何をやら

記事を読む

長屋

落語 粗忽長屋のあらすじ 色々なランクがある長屋について

粗忽長屋 そそっかしい八五郎が浅草の観音様にお参りした帰り道 人だかりが出来ているのに出くわす

記事を読む

盃

落語 転失気(てんしき)のあらすじ 転失気とは医学用語?

転失気(てんしき) お寺の和尚さんの体調がここ最近すぐれない。お医者さんを呼んでみてもらったと

記事を読む

猫の皿

落語 猫の皿のあらすじ 猫一匹に三両実は高くない?

猫の皿 田舎の家々を回っては骨董品を買い集め 江戸に帰るとそれを転売して生計を立てている男

記事を読む

たがや

落語 たが屋のあらすじ 花火の掛け声た~まや~について

たがや 両国橋は花火見物の客でごったがえしている。その混雑の中へあろうことか馬に乗った侍と共侍

記事を読む

紅葉

落語 千早振るのあらすじ 江戸時代の豆腐事情とは

千早振る ご隠居のところに熊さんが血相を変えて転がり込んでくる。 娘が百人一首に凝りだし

記事を読む

御神酒徳利

落語 御神酒徳利(おみきどっくり)のあらすじ 実はエリート?番頭の役割とは

御神酒徳利 江戸の大きな旅籠で大掃除の最中に、主人の先祖が将軍家より頂いた家宝の御神酒徳利がな

記事を読む

大店

落語 薮入りのあらすじ 薮入りの意味と江戸時代の休みについて

薮入り 奉公に出た息子の亀吉が久しぶりに帰ってくることになった。 三年ぶりに会える息子の

記事を読む

Message

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

落語 野ざらしのあらすじ オチの馬の骨だったか!の意味とは?

野ざらし 長屋の八五郎が隣に住む先生の元をたずねる。 昨晩

落語 化け物使いのあらすじ 驚愕の奉公人の年間休日数とは?

化け物使い 人使いの荒いことで有名なあるご隠居 朝から晩まで働

馬
落語 付き馬のあらすじ オチの馬に行けとは?

付き馬 吉原のある店に金持ち風の男がと登楼してくる。その晩 男は

落語 黄金餅のあらすじ 西念が飲み込んだ金について

黄金餅 ケチ坊主の西念が病で寝込んでいると聞いて隣に住む金兵衛が

金蔵
落語 味噌蔵のあらすじ 防火対策の目塗りとは?

味噌蔵 ケチで有名な商屋の旦那の奥さんに男の子が生まれたというと

→もっと見る

PAGE TOP ↑