*

落語 薮入りのあらすじ やぶいりの意味と江戸時代の休みについて

公開日: : 最終更新日:2020/07/26 人情噺 , ,

薮入り

奉公に出た息子の亀吉が久しぶりに帰ってくることになった。

三年ぶりに会える息子のことを考えるとなかなか寝付けない熊さん。

帰ってきたらあれを食べさせてやれ、あそこへ連れて行ってやろうとかうるさくて仕方がない。

あまりにもしつこいので「落ち着いてさっさと寝なさい」と女房に怒られる始末

なんてことをしているうちに朝になる。
朝
熊さんが、まだかまだかとソワソワしているうちにようやく息子の亀吉が帰ってきた。

亀吉:
「お父様、お母様ただいま帰りました。おかわりはございませんか」

すっかり成長した息子の姿に感極まって泣いてしまう熊さん

息子を銭湯に送り出し、女房とあれこれと話していると、息子の財布の中から大金を見つけてしまう
銭湯
給金にしては多過ぎる、悪いことをしたお金では?心配する二人

熊が銭湯から帰ってきた息子を問いただすと

亀吉:
「悪いお金ではありません。ねずみが増えて悪い病気がはやっているので、ねずみを捕まえて番所に届けていました。そのうちの一匹が懸賞に当たって賞金をもらいました。店の主人に渡していましたが、薮入りだから両親に渡しなさいと言われました。」
小判
それを聞いた熊さんは胸をなでおろし

熊:
「疑って悪かったな。これからもご主人を大事にするんだぞ。ねずみの懸賞が当たったのも奉公先のご主人への忠(チュウ)のおかげだ
ねずみ

薮入りについて

江戸時代10歳くらいで商店に奉公に出ると店に住み込みが当たり前で最初の三年間は実家に帰ることすら出来ませんでした。

最初の三年を過ぎると年に2回 1月16日と7月16日が薮入りといって休暇がもらえ主人に新調してもらった着物をきて帰ることもあったようです。

3年目にようやく里帰りを許されて久しぶりの親子の対面。子供の成長というのは早いので3年も会わないものですから、否が応でも「立派になったなあ…」となるわけです。

まとまった休みがない割りに子供の奉公人は給金は小遣い程度しかなく、実際に財布に大金があったら店の金に手をつけたのでは?と思っても仕方がないでしょう。

こういう習慣は江戸や明治時代だけの話ではなく、戦後くらいまで続いていたそうです。このような雇用形態も当時としては当たり前のことで「他の子もやってるから自分もやって当たり前」と本人も疑問も抱かなかったでしょう。日本人の同調圧力恐るべし…

ちなみに亀吉が捕まえて懸賞金を貰ったねずみについてですが、東京市に実際にあった条例で、ペスト対策のために明治三十三年(1900年)一匹五銭で買い上げていたそうです。

なかには大量に地方から仕入れてきてねずみで一財産築いたものもあったとか…ねずみなんて見なくなって久しい現代では想像できない話です。

落語一覧へ



関連記事

柳田かくのしん

落語 柳田格之進(やなぎだかくのしん)のあらすじ 庶民の娯楽だった囲碁

柳田格之進 万屋の主人に招かれて碁を囲む浪人の柳田格之進 そこへ店の番頭が50両の集金を終え

記事を読む

阿武松(おうのまつ)

落語 阿武松(おうのまつ)のあらすじ 大関が最高位だった江戸時代の番付

阿武松(おうのまつ) 京橋の武隈という親方の元へ能登の国から若い者が手紙を持って尋ねてきます。

記事を読む

落語 ぞろぞろのあらすじ 雨の日に履かれたのは草履?

ぞろぞろ 少々荒れ果てたお稲荷さんの隣で茶屋を営んでいる老夫婦。茶屋だけではたいした儲けになら

記事を読む

ねずみ

落語 ねずみのあらすじ 左甚五郎は架空の人物?

ねずみ 江戸時代の名工左甚五郎が旅の途中でフラリと宿場町を訪れた。そこで宿を探していると、子供

記事を読む

落語 松山鏡のあらすじ 死んだ人に会うにはどうする?

松山鏡 松山村に住む正直なことで評判な正助 その評判は殿様の耳に入り 殿様はぜひ会いたい

記事を読む

孔子

落語 二十四孝(にじゅうしこう)のあらすじ 中国の書物二十四孝とは?

二十四孝(にじゅうしこう) 乱暴者の熊五郎が大家さんのところへ駆け込んでくる 何でも母親

記事を読む

金蔵

落語 ねずみ穴のあらすじ オチの五臓の疲れとは?

ねずみ穴 親の遺産をすっかり食いつぶしてしまった遊び人の竹次郎が借金を申し込みに兄の元をおとずれる

記事を読む

猫の皿払った三両

落語 三方一両損のあらすじ 大岡越前守実際はどのような人物だったか?

三方一両損 左官屋の金太郎が柳原あたりで財布を拾う。なんと財布の中身は三両もの大金と書付と印行

記事を読む

落語 文違いのあらすじ 騙し騙されの相関図

文違い 新宿の女郎 お稲が二人のなじみ客に金を無心する手紙を送る 一人はお稲にぞっこんの

記事を読む

首ったけ

落語 首ったけのあらすじ 吉原から遊女の逃亡を防いだ仕組みとは?

首ったけ 吉原の馴染みの花魁 紅梅がなかなかやって来ないので座敷で一人イライラしている辰

記事を読む

Message

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

落語 野ざらしのあらすじ オチの馬の骨だったか!の意味とは?

野ざらし 長屋の八五郎が隣に住む先生の元をたずねる。 昨晩

落語 化け物使いのあらすじ 驚愕の奉公人の年間休日数とは?

化け物使い 人使いの荒いことで有名なあるご隠居 朝から晩まで働

馬
落語 付き馬のあらすじ オチの馬に行けとは?

付き馬 吉原のある店に金持ち風の男がと登楼してくる。その晩 男は

落語 黄金餅のあらすじ 西念が飲み込んだ金について

黄金餅 ケチ坊主の西念が病で寝込んでいると聞いて隣に住む金兵衛が

金蔵
落語 味噌蔵のあらすじ 防火対策の目塗りとは?

味噌蔵 ケチで有名な商屋の旦那の奥さんに男の子が生まれたというと

→もっと見る

PAGE TOP ↑