落語 心眼のあらすじ 薬師如来(薬師様)のご利益とは?
心眼
按摩の梅喜が目が見えないことを弟に馬鹿にされて帰ってくる
悔しがる梅喜を励ます女房のお竹。梅喜は翌日から薬師様に目が見えるようにと願掛けを始める。
薬師様へ願掛けを始めて21日目の満願の日、願いがかない梅喜の目は見えるようになる。
目が見えるようになって驚いた。見るものすべてが新鮮な梅喜 上総屋の旦那に声を掛けられるが 目が見えるようになると逆にわからない。
見えない時には難なく帰れた道も帰れそうにないので、上総屋の旦那と一緒に帰ることに。
雑談しながら歩く二人の前を芸者が通る
すると梅喜は
梅喜:
「さっきの芸者と女房のお竹ではどっちが美しいですか」
言いにくそうに上総屋の旦那が答える
上総屋:
「お竹さんは気立ては良いのだが、見た目は…」
がっかりする梅喜 それに比べて梅喜本人はかなりの美男子で芸者の小春はお前にぞっこんだ
そんなことを話しているうちに浅草の観音様の境内で二人ははぐれてしまう
帰れなくて困る梅喜 そこへ偶然にも先程話題になっていた芸者の小春とバッタリ会ってしまう
美しい小春にメロメロの梅喜と梅喜に気のある小春は一緒に手を繋いで近くの待合茶屋に…
その頃 上総屋の旦那はお竹に梅喜の目が見えるようになったことと、観音様の境内ではぐれたことを報告
喜んだお竹が観音様に向かうと、ちょうど二人が待合茶屋に入るところを目撃してしまう。
そうとも知らず梅喜と小春はさしつさされつ、酒の勢いもあって「お竹は離縁して一緒になろう」等と相談していると
怒ったお竹が飛び込んでくる!顔を真っ赤にしてお竹が梅喜の胸ぐらを締め上げると
梅喜:
「苦しい…お竹勘弁…」
というところで目が覚めた。なんと先程のことはすべてが夢
お竹:
「今日も願掛けに行くのかい?」
と聞くお竹にもう願掛けはやめるという梅喜
梅喜:
「妙なものだね 今の俺は寝ているうちだけよく見える」
※待合茶屋:待合とも 出会い茶屋、貸し座敷ともいい、よく男女の密会用に部屋を貸してくれる店
茶屋なのでお酒も出してくれるラブホテルのようなものを想像してもらえればいいと思います(^^;
人々の信仰を集めた薬師如来
いわゆる夢落ちのパターンだったわけですが、女房のお竹さんの容姿が不美人だったかどうかも藪の中となってしまいました。
実は美人という可能性は残っていた方が楽しいのではないでしょうか(笑)
願掛けというとよく登場する薬師様(薬師如来)ですが、阿弥陀如来や大日如来が来世仏といって来世利益の仏様なのに対し 薬師如来は現世仏と言って現世利益、とくに病気の治癒にご利益があるとされます。
薬師とは今でいう薬剤師のようなもの。病気に応じて薬を処方してくれますが、生きている人にしか薬は効果がないことから現世で生きている人たちを救う仏様となっています。
見た目は阿弥陀如来や釈迦如来と見分けがつきにくいですが左手に持っている薬壺が目印です。
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