*

落語 御神酒徳利(おみきどっくり)のあらすじ 実はエリート?番頭の役割とは

公開日: : 最終更新日:2019/02/14 人情噺, 滑稽噺 , , , ,

御神酒徳利

江戸の大きな旅籠で大掃除の最中に、主人の先祖が将軍家より頂いた家宝の御神酒徳利がなくなった。

葵のご紋入りの大切な品物なので旅籠の使用人一同大騒ぎ
葵の紋
ただ原因は番頭の善六がうっかり水がめの底に入れておいたのを忘れていただけ。

主人に一度うっかり「存じません」といってしまった手前、今更言うのも決まりが悪く正直に言い出しかねていると

易者の父親を持つ女房が

女房:
「おまえさんの占いでわかったことにすればいい 筮竹だと手元があやしいから道具はソロバンにしときな」
と名案をさずけてくれた

店に戻りソロバンをパチパチと鳴らして占いの真似事をして

善六:
「ソロバンに卦が出ました。水に関係ある場所でしょう」
そろばん
自分が置いた徳利なので、もちろん言ったとおりの場所から徳利は発見される

主人は大喜びで大宴会を催すが、これを聞きつけて泊り客の豪商鴻池屋の番頭がやってきた

鴻池番頭:
「主の娘が長患いで苦しんでいます。いかなる名医も匙を投げました。こちらの先生にぜひ大坂へ来ていただきたい」
と頼み込む

善六は家に帰って女房に相談すると

女房:
「父親から易者の本を借りてあげるから行って来な。なんとかなるから」
と背中を押され、東海道を西へ急ぐと神奈川宿で事件に出くわす

なんと武士の財布が盗まれて、宿屋の者に疑いがかかっているという。
占いの能力を知った宿屋の主人に頼まれて大いに困る善六

プレッシャーに耐えられず、夜逃げをしようと思ったところで宿屋の女中が善六に罪を告白する

女中:
「盗んだのは私です。えらい易者の先生がお見えと伺いもう逃げられないと思い…わたしが捕まると病気の父が…」

涙ながらに打ち明ける女中に財布の隠し場所を聞くと壊れかけた稲荷の床下にあるという
稲荷
翌朝ソロバンに卦が出たことにして財布を発見。礼金の一部を女中に渡して開放した。

武士:
「これは荒れ果てた稲荷の祟り」

と武士は費用を出してお宮の修繕を宿屋の主人に頼む
小判
善六はここもなんとか切り抜けてついに大坂に到着

しかし、元々占いの腕はさっぱりだし、医者でもない。どうしようもないので水垢離をはじめる善六

すると夢枕に老人が立つ
布団
老人:
「おまえのおかげでお宮が修復され、大変ありがたいことだ。鴻池の娘を治す方法を教えてやろう」

はっと目覚めて、老人に言われたとおり柱の下を掘ると観音像が出てきた

善六:
「この観音像のために社を作り奉りなさい。さすれば娘の病は治るであろう」

ソロバンに卦が出たことにして善六が教えると、娘はみるみるうちに回復した

喜んだ鴻池屋は善六に莫大な礼金を差し出す
千両箱
受け取った礼金ではじめたのは元の商売の旅籠
旅籠の主人になった善六は大金持ちに。

ソロバン占いで成功しただけにケタ違いに暮らしぶりはよくなったという

番頭の役割について

大店
江戸時代、大店への就職は10歳前後に丁稚として住み込みで入り、実地教育を受け、18歳になると元服して手代という身分になりました。
その頃、前髪を剃り上げる商家スタイルとなります。

手代ではまだ住み込みの状態です。番頭に昇進するのは三十代半ば頃で、なれるのは競争に勝ち残った一握りの者でした。

番頭は現代で言うと部長クラスあたりでしょうか。番頭になると店から出て自分の家から通いで勤めるようになり、結婚できるようになります。
(逆に言うと三十代半ばまで所帯を持つことができなかった)

店の経営権は主人のものですが、番頭は日々の営業や人事を取り仕切るかなり重要なポストです。
噺の中に出てくる少し抜けていて、かみさんに頼りきりの善六ですが、大きな旅籠の番頭ということは実はエリートと言えます。

落語一覧へ

関連記事

酒

落語 親子酒のあらすじ

親子酒 いつも酒を飲みすぎてしまう商家の旦那と若旦那。酒を飲みすぎては失敗して後悔ばかりしてい

記事を読む

相談

落語 あくび指南のあらすじ 江戸時代人気のあった習い事とは?

あくび指南 町内にできた「あくび指南」の道場の看板を見て、新しいもの好きの男が興味を持つ ただ一

記事を読む

ろくろ首

落語 ろくろ首のあらすじ 江戸時代見世物にもあったろくろ首

ろくろ首 二十五になっても母親と二人暮らしの与太郎がお嫁さんがほしいと伯父さんに相談する。

記事を読む

石川五右衛門

落語 お血脈のあらすじ 大泥棒石川五右衛門は実在した?

お血脈 信州の善光寺にはありがたい「血脈の印」というものがある。 これを額に押してもらうと、

記事を読む

火事息子

落語 火事息子のあらすじ 町火消しと定火消しの違いとは

火事息子 火事好きが高じて町火消しになりたいという質屋の若旦那。 大旦那は一人息子にそんなに

記事を読む

居残り佐平次

落語 居残り佐平次のあらすじ サゲオチのおこわにかけるとゴマ塩だからの関係は?

居残り佐平治 遊び人の佐平次が仲間に品川の遊郭に繰り出して派手にやろうと提案する。 佐平次:

記事を読む

三年目花嫁

落語 たらちねのあらすじ 女子が目指した武家屋敷への奉公について

たらちね 人は良いが貧乏なためになかなか嫁の来手がなかった八五郎に長屋の大家さんが縁談を持ち込

記事を読む

落語 松山鏡のあらすじ 死んだ人に会うにはどうする?

松山鏡 松山村に住む正直なことで評判な正助 その評判は殿様の耳に入り 殿様はぜひ会いたい

記事を読む

落語 王子の狐のあらすじ 王子稲荷と実在する扇屋について

王子の狐 王子稲荷にお参りに来た熊五郎 その帰りに不思議な光景を目にする。狐が頭に葉っぱ

記事を読む

夜

落語 品川心中のあらすじ 心中失敗 実際に生き残った方はどうなる?

品川心中 品川の遊郭白木屋で売れっ子だった遊女のお染だが、寄る年波には勝てず、最近では客がめっ

記事を読む

Message

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

落語 野ざらしのあらすじ オチの馬の骨だったか!の意味とは?

野ざらし 長屋の八五郎が隣に住む先生の元をたずねる。 昨晩

落語 化け物使いのあらすじ 驚愕の奉公人の年間休日数とは?

化け物使い 人使いの荒いことで有名なあるご隠居 朝から晩まで働

馬
落語 付き馬のあらすじ オチの馬に行けとは?

付き馬 吉原のある店に金持ち風の男がと登楼してくる。その晩 男は

落語 黄金餅のあらすじ 西念が飲み込んだ金について

黄金餅 ケチ坊主の西念が病で寝込んでいると聞いて隣に住む金兵衛が

金蔵
落語 味噌蔵のあらすじ 防火対策の目塗りとは?

味噌蔵 ケチで有名な商屋の旦那の奥さんに男の子が生まれたというと

→もっと見る

PAGE TOP ↑