*

落語 松山鏡のあらすじ 死んだ人に会うにはどうする?

公開日: : 最終更新日:2020/01/30 人情噺, 滑稽噺 , , ,

松山鏡

松山村に住む正直なことで評判な正助

その評判は殿様の耳に入り 殿様はぜひ会いたいという

会ってみると なるほど評判通りの正直者。それに加えて大変な親孝行 亡くなった父親の墓参りを20年間欠かしたことがない

殿様は感心して「褒美を取らそう」ということになった
松山鏡殿様
「何か望むものはないか?」と聞く殿様に対し正助は「亡くなった父親に会いたい」と言い出した

困った殿様だったが ある案を思いつく

殿様:
「正助 おまえは亡くなった父親と似ておるか?」

正助:
「そっくりでございます」

殿様:
「よし正助 父親に合わせてつかわす」

そういうと殿様は家来に大きな箱に入った鏡を持ってこさせる
松山鏡箱
殿様:
「正助 箱を開けてみよ」

正助が箱を開けると 亡くなった父親とそっくりの自分の顔が写る

鏡など見たことのない正助は父親に再会できたとすっかり信じ あまりの嬉しさに泣き崩れてしまう

殿様:
「正助 それはおまえへの褒美だから他人に見せるではないぞ」

大喜びで鏡の入った箱を家に持ち帰る正助
松山鏡
他人に見せるなという言いつけを守った正助は 鏡を二階に隠し 毎日父親(と思っている自分)に話しかける

それを怪しんだのが正助の女房 「夫が二階でコソコソ誰かと話をしている」

正助が留守の間に二階の箱を開けてみる女房

女房の方も鏡なんて見たことがないので、鏡に映る自分の姿を見て、正助が女を隠していたと勘違いして怒り心頭




女房:
「この女狐め!」

と怒鳴ると相手も怒鳴り返してくるもんだから収拾がつかない

そこへ正助が帰ってきたものだから女房は食ってかかる

女房:
「女を囲ってただな!」

正助:
「何を言うんだ あれはとっつぁまだ」

二人の話は平行線で埒が明かない。そこへ騒ぎを聞きつけた尼さんが仲裁に入った
尼さん
「おんなだ!」「とっつぁまだ!」と二人の話が全然違うので困ってしまう尼さん

尼さん:
「いいでしょう 私が確かめてきましょう」

二階へ真実を確かめに行く尼さんだったが、彼女も鏡を見たことがない

箱を開けると女の姿が…

なるほどと一階にいる二人に結果を伝えに行く尼さん

尼さん:
「二人ともケンカなどしなくていい 中の女も決まりが悪いと尼になったよ

死んだ人に会わせてください!ちょっと怖い話

この噺とはちょっとニュアンスが違いますが、昔々死んだ人を返せ!と訴え続けた人がいました。

時は戦国時代の末期 登場人物は「愛」の兜でも有名な直江兼続

彼の家臣が下人(住み込みの召使い)を些細な理由で切り捨ててしまいます。家臣はそのことを反省し上司である兼続は下人の家族に謝罪と賠償をするように手配をしました。

しかし下人の家族は納得せず「死んだ者を返してほしいと」訴え続けます。兼続は下人の家族たちに「返せと言われても どうすれば死んだ者が帰ってくるのか?」と尋ねると家族も「そんな方法は知らないが、とにかく返してほしいと」訴えをやめません。

すると兼続は
「では、おまえたちあの世に迎えに行ってまいれ」と家族三人を切り捨ててしまいます。

兼続のこの処置に以降誰も文句をいうものはいなくなったといいます。

飴と鞭 たまにはキレることも必要なんでしょうか…ちなみに実話かどうかは諸説ありますが…

落語一覧へ



関連記事

湯のみ

落語 二番煎じのあらすじ 江戸時代の治安維持のシステムとは

二番煎じ 寒い夜に番小屋に町の旦那衆が夜回りのために集まっている。 夜回りのために外に出

記事を読む

落語 猫の忠信のあらすじ オチと義経千本桜のパロディー部分を解説

猫の忠信 次郎吉が長唄の稽古に行こうと同じ長屋に住む六兵衛を誘いにくるが 六兵衛はもう馬鹿馬鹿しく

記事を読む

落語 権兵衛狸のあらすじ

権兵衛狸 一人暮らしの権兵衛が一杯飲んで寝ようとしていると いきなり家の戸を叩く音がする。同時

記事を読む

盃

落語 転失気(てんしき)のあらすじ 転失気とは医学用語?

転失気(てんしき) お寺の和尚さんの体調がここ最近すぐれない。お医者さんを呼んでみてもらったと

記事を読む

三年目花嫁

落語 たらちねのあらすじ 女子が目指した武家屋敷への奉公について

たらちね 人は良いが貧乏なためになかなか嫁の来手がなかった八五郎に長屋の大家さんが縁談を持ち込

記事を読む

火炎太鼓

落語 火焔太鼓(かえんだいこ)のあらすじ 道具屋とサゲオチのオジャンについて

火焔太鼓 人はいいのに商売が下手な道具屋の店主 甚兵衛 お客が「いい箪笥だね」褒めれば「

記事を読む

傘

落語 道灌のあらすじ 太田道灌は和歌に疎かった?

道灌 ご隠居のところへやってきた長屋の八っつあん。今日も馬鹿話をしている。そのうち絵の話になり

記事を読む

落語 片棒

落語 片棒のあらすじ

片棒 けちが服を着て歩いているとケチで有名な赤西屋の大旦那。人呼んで赤西屋ケチ兵衛。 若いこ

記事を読む

高田馬場

落語 高田馬場のあらすじ 人気があった敵討ちについて

高田の馬場 浅草奥山観音様の境内、参拝客を当て込んだ出店や大道芸などを目当てに訪れる観光客もあって

記事を読む

金蔵

落語 ねずみ穴のあらすじ オチの土蔵(五臓)の疲れの意味とは?

ねずみ穴 親の遺産をすっかり食いつぶしてしまった遊び人の竹次郎が借金を申し込みに兄の元をおとずれる

記事を読む

Message

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

落語 野ざらしのあらすじ オチの馬の骨だったか!の意味とは?

野ざらし 長屋の八五郎が隣に住む先生の元をたずねる。 昨晩

落語 化け物使いのあらすじ 驚愕の奉公人の年間休日数とは?

化け物使い 人使いの荒いことで有名なあるご隠居 朝から晩まで働

馬
落語 付き馬のあらすじ オチの馬に行けとは?遊郭での勘定のルール

付き馬 吉原遊郭のある店に金持ち風の男がと登楼してくる。その晩

落語 黄金餅のあらすじ 西念が飲み込んだ金について

黄金餅 ケチ坊主の西念が病で寝込んでいると聞いて隣に住む金兵衛が

金蔵
落語 味噌蔵のあらすじ 防火対策の目塗りとは?

味噌蔵 ケチで有名な商屋の旦那の奥さんに男の子が生まれたというと

→もっと見る

PAGE TOP ↑