*

落語 たが屋のあらすじ 花火の掛け声た~まや~について

公開日: : 最終更新日:2019/08/03 怪談噺, 滑稽噺 , ,

たがや

両国橋は花火見物の客でごったがえしている。その混雑の中へあろうことか馬に乗った侍と共侍たちが通りがかった。

ただでさえ身動きの取れない橋の上を侍の一団は町人たちをかき分けて通り抜けようとする。

町人たちは大迷惑。皆が眉をひそめているが 相手は刀を持った侍たち。おおっぴらに文句を言えるはずもない。

時を同じくして、武士の一団と反対側から、大きな道具箱を担いだたが屋も橋の上に入り込んできた。
たが
両者見物客を押しのけるようにして橋の中央でかち合い、運の悪いことにたが屋の道具箱に収められていた巻き竹がシュッと伸びて馬に乗っていた侍の笠をはじき飛ばしてしまう。

共侍が無礼者と刀に手をかける。

たが屋:
「それはご勘弁を私が死んだら目の不自由な母親が路頭に迷わなければなりません」
共侍:
「ならん。この二本を差しているのが目に入らぬか」

共侍の態度にたが屋が激昂して啖呵を切る

たが屋:
「二本差が怖くて田楽が食えるかよ。うなぎを見ろい、四本も五本も差してあらあ」

共侍が刀の柄に手をかける。たがやの命もここまでかと思われたが、共侍の刀がうまく抜けずにつっかえている。
その隙にたが屋が殴りつける。落とした刀を拾うやいなやたが屋が共侍を切りつける。

どっと倒れる共侍。

野次馬:
「いいぞ!たが屋!」

野次馬たちがたが屋に声援を送ると馬上にいた侍が馬から降りて、共の者に持たせていた槍を受け取り

侍:
「成敗してくれる!まいれ!」
たが屋:
「なんだと!さあ来い!」

お互い武器を構えて対峙する侍とたが屋だが今度ばかりは たが屋も絶体絶命。野次馬たちも息を飲む。

いざ!と侍が槍を一直線にたが屋に向かって突き立ててくるが、すんでのところでたが屋はそれをかわし素手で柄(つか)の部分を掴む。

侍は槍を放して腰に差した刀に手を掛け 居合の要領で抜き様に切ろうとしたが、たが屋の方が一瞬早く…

侍の首が天に向かってポ~ン
侍の首
見ていた野次馬たちは思わず

野次馬:
「おっ!上がった上がった!た~がや~」

江戸時代の花火について

現在では7月の終わりに行われる隅田川の花火大会。江戸時代は旧暦の五月二十八日の川開き日に花火が上げられていたのが始まりとされます。

五月二十八日から八月二十八日までの川開きの期間は隅田川で泳いだり周辺の店の夜間営業が許可されたいへん賑わいました。

花火の掛け声で有名な「たまや~」や「かぎや~」は花火屋の屋号で初日と打ち止めの花火を請け負っており、川の上流側から玉屋、下流側から鍵屋が打ち上げていました。

しかし玉屋は天保14年(1843年)に失火を起こしてしまい江戸から追放されましたが、なぜか掛け声だけは残る結果となっています。(むしろ鍵屋とコールする人の方が少数派のような気がします)

たが屋という職業について

たがとは
侍の首が飛んで「た~がや~」はなんともシュールなラストですが
たがというのは桶の形を保つために回りから締めるために巻かれる竹で編んだ枠のこと。

細長い板を並べて、竹のたがで締めて盥(たらい)や風呂桶は作られました。そうしたものを作る職人は「桶結師」とか「桶大工」などと呼ばれました。

緊張や縛られていたものが解けて羽目を外してしまうことを「箍を外す」というのでもお馴染みです。

登場するたが屋は箍を巻く専門の職人だったか、桶屋だったのかは少し謎が残ります。

落語一覧へ




関連記事

寿限無

落語 寿限無(じゅげむ)のあらすじ 寿限無とは仏教語?

寿限無 熊さん夫婦の家に男の子が生まれます。 その子供に名前をつけるのが親としての最初の

記事を読む

金蔵

落語 味噌蔵のあらすじ 防火対策の目塗りとは?

味噌蔵 ケチで有名な商屋の旦那の奥さんに男の子が生まれたというという知らせが里から届く

記事を読む

落語 天災のあらすじ

天災 どんな些細なことにも噛み付く怒りっぽいことで有名な熊五郎 今日も女房と喧嘩をしたよ

記事を読む

袈裟

落語 錦の袈裟のあらすじ 袈裟の種類と寄付者について

錦の袈裟 町の兄貴分が若い衆を集める。なんでも隣町の若い衆が揃いの縮緬の長襦袢で吉原に繰り出し

記事を読む

落語 本膳のあらすじ 本膳料理とは何か?

本膳 長屋の男たちの元へ大家さんから手紙が届く 誰もまともに字が読めないものだから「これはひ

記事を読む

饅頭怖い

落語 饅頭怖いのあらすじ

饅頭怖い 今日も長屋の若い者たちが集まって馬鹿話に花を咲かせていると一人血相を変えて飛び込んで

記事を読む

落語 宗論のあらすじ 宗論はどちらが勝っても釈迦の恥

宗論 店が忙しいというのに若旦那が朝から姿を見せない。 番頭の話によると どうやら若旦那はキ

記事を読む

つる

落語 つるのあらすじ 江戸時代鶴は食用にされていた?

つる ご隠居の家に遊びにきた八五郎今日も今日とて馬鹿話をしている そのうちこの間見た鶴の掛軸

記事を読む

ねずみ

落語 ねずみのあらすじ 左甚五郎は架空の人物?

ねずみ 江戸時代の名工左甚五郎が旅の途中でフラリと宿場町を訪れた。そこで宿を探していると、子供

記事を読む

大山詣り

落語 大山詣りのあらすじ 江戸時代の行楽だった寺社参拝

大山詣り 長屋の男衆が揃って大山詣りに出かけることになった。行楽半分、信心半分の旅ではあるが、

記事を読む

Message

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

落語 野ざらしのあらすじ オチの馬の骨だったか!の意味とは?

野ざらし 長屋の八五郎が隣に住む先生の元をたずねる。 昨晩

落語 化け物使いのあらすじ 驚愕の奉公人の年間休日数とは?

化け物使い 人使いの荒いことで有名なあるご隠居 朝から晩まで働

馬
落語 付き馬のあらすじ オチの馬に行けとは?

付き馬 吉原のある店に金持ち風の男がと登楼してくる。その晩 男は

落語 黄金餅のあらすじ 西念が飲み込んだ金について

黄金餅 ケチ坊主の西念が病で寝込んでいると聞いて隣に住む金兵衛が

金蔵
落語 味噌蔵のあらすじ 防火対策の目塗りとは?

味噌蔵 ケチで有名な商屋の旦那の奥さんに男の子が生まれたというと

→もっと見る

PAGE TOP ↑