*

落語 目黒のサンマのあらすじ 大名や武士が食べなかった魚とは

公開日: : 最終更新日:2019/08/03 滑稽噺 ,

目黒のさんま

秋の晴れた日に家来を伴って遠乗りに出かけた さる国の殿様
目黒の辺りに着いた所でくたびれて腹が減って仕方がない。

家来たちに食事の用意をさせようとしたが、家来たちも急なことで用意が出来ない。

すると近所の農家からおいしそうな匂いがただよってきた
村
殿様:
「いずれかで魚を焼く匂いがするが、たいへんよい匂いじゃ」
家来:
「ははーっ、あちらはサンマを焼く匂いと存じます」
殿様:
「なに、余はそのような魚を食したことがないぞ」
家来:
「サンマは庶民の食す下魚でございます。殿のお口に合うものではございません」
殿様:
「余は空腹である。サンマを用意いたせ」

殿の強引なお願いに家来は困ったが、なんとか農家の主人に焼いたサンマを分けてもらい献上する。
さんま
家来:
「殿こちらは下々の者たちが食すものにて、なにぶんご内密に」

脂の乗ったサンマを食した殿様はその味を気に入ってしまい、屋敷に戻ってもサンマがの味が忘れられない。
サンマのような下魚は殿様のご膳にのるわけもなく思いは募るばかり。

ある日、親類に招かれて設けられた宴席で
「お望みの料理は」と聞かれ殿様は迷わずサンマを所望した。




料理番たちは殿様がサンマを?と訝しがりながらも日本橋魚河岸でサンマを調達する

それにしてもこのような脂の乗った魚をお出しして何かあったら一大事

身体に障らぬよう蒸して油を落とし、小骨も刺さらぬよう一本一本毛抜きで丁寧に抜いて、つみれのようにしたものを吸い物にして、御前に出した。

殿様は出されたサンマの似ての似つかぬ形を不満に思うが、確かにサンマのにおいはする。

ただ当然のことだが食してみると、農家で食べたものとはまったく別物。蒸して脂が抜いてある それでは美味しくないのも無理はない。

落胆した殿様

殿様:
「これ、このサンマはいったいどこから取り寄せた」
家来:
「ははっ日本橋魚河岸より吟味して取り寄せました」
殿様:
「それはいかん。サンマは目黒に限る

江戸時代の目黒について

おそらく落語の中でもっとも有名な噺である目黒のサンマ
当時の目黒は地名の元になった目黒不動尊があり、門前町の周辺に町があったが大部分が草原、山林であったそうです。
解説不要と思いますがサゲは世間知らずの殿様を少々皮肉ったもの。

武士が食べるについて

魚
下魚とされたサンマ以外にも殿様や武士が意識して食べなかった魚も多数あります。

コハダの成魚コノシロは「この城(を食す)」に通じるとして食されなかったという意味と切腹するものに最後に供されるものとして嫌われていました。

またフグは毒に当たって死ぬことは不名誉なこととして大っぴらには口にされませんでした。平和な時代でも命は主君のためにという考え方は根強かったものと思われます。

現在では高級魚のマグロも別名の「シビ」が「死日」に通じることから縁起を担いで食べられなかったそうです。

落語一覧へ




関連記事

大山詣り念仏

蒟蒻問答(こんにゃくもんどう)のあらすじ 修行僧について

蒟蒻問答 昔はやくざ者だったが今ではすっかり足を洗い蒟蒻屋を営んでいる六兵衛。足を洗ったという

記事を読む

力士

落語 花筏(はないかだ)のあらすじ なぜ横綱ではないのか?

花筏 ある日 提灯屋の主人の元に相撲部屋の親方が訪ねてくる 提灯の注文だと思った主人だっ

記事を読む

ろくろ首

落語 ろくろ首のあらすじ 江戸時代見世物にもあったろくろ首

ろくろ首 二十五になっても母親と二人暮らしの与太郎がお嫁さんがほしいと伯父さんに相談する。

記事を読む

酒

落語 親子酒のあらすじ

親子酒 いつも酒を飲みすぎてしまう商家の旦那と若旦那。酒を飲みすぎては失敗して後悔ばかりしてい

記事を読む

湯屋番

落語 湯屋番のあらすじ 合法的に銭湯の女湯に入るには?

湯屋番 大工の熊の家に居候している若旦那。 毎日飲んでは寝てばかりなので、熊はともかく女房が不満

記事を読む

千両みかん

落語 千両みかんのあらすじ 紀伊国屋文左衛門はみかんで財を成せたか?

千両みかん 大店の若旦那が夏の盛りに病気になってしまった 日に日に衰えていき、食べ物も喉

記事を読む

落語 夏の医者のあらすじ 食あたりの原因チシャ(萵苣)とは?

夏の医者 病気になった父親のために息子が医者を呼びに行く しかし一番近くの医者でも山を越えて六里

記事を読む

火炎太鼓

落語 火焔太鼓(かえんだいこ)のあらすじ 道具屋とサゲオチのオジャンについて

火焔太鼓 人はいいのに商売が下手な道具屋の店主 甚兵衛 お客が「いい箪笥だね」褒めれば「

記事を読む

看板のピン

落語 看板のピンのあらすじ ちょぼいちのルールとは

看板のピン 若い衆が集まるサイコロ賭博にこの道ではかなり年季の入った渋い親分がふらりと現れる。

記事を読む

家

落語 宿屋の富のあらすじ

宿屋の富 馬喰町の暇そうな宿屋にふらりと泊まりに来た小汚い身なりの男 主人はせっかく来てくれ

記事を読む

Message

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

落語 お菊の皿(皿屋敷)のあらすじ どこにあるのかお菊の井戸

お菊の皿(皿屋敷) 町内のヒマな若い衆がご隠居の元をたずねる。目

金蔵
落語 ねずみ穴のあらすじ オチの五臓の疲れとは?

ねずみ穴 親の遺産をすっかり食いつぶしてしまった遊び人の竹次郎が借金

落語 ぞろぞろのあらすじ 雨の日に履かれたのは草履?

ぞろぞろ 少々荒れ果てたお稲荷さんの隣で茶屋を営んでいる老夫婦。

落語 万金丹のあらすじ 江戸時代の薬について

万金丹 旅の途中で路銀が尽きて行き倒れ一歩手前の辰五郎と梅吉

落語 松山鏡のあらすじ 死んだ人に会うにはどうする?

松山鏡 松山村に住む正直なことで評判な正助 その評判は殿様

→もっと見る

PAGE TOP ↑