落語 湯屋番のあらすじ 合法的に銭湯の女湯に入るには?
湯屋番
大工の熊の家に居候している若旦那。
毎日飲んでは寝てばかりなので、熊はともかく女房が不満を募らせている。
仕方がないので熊は若旦那に仕事を紹介することにした。
熊:
「若旦那 毎日ごろごろしていては身体に悪い 風呂屋が若い人を探しているんでやってみませんか?」
若旦那:
「その風呂屋には女湯があるんだろうね?」
熊:
「もちろんです」
気に入った!と二つ返事で引き受ける若旦那 さっそく風呂屋へ向かうことに
若旦那:
「女湯がタダで見られるなんてうれしいね」
と色々妄想しながら風呂屋に着くと最初に言い付かったのが、外回りをして薪を集めてくる仕事
そんなの約束と違うと怒る若旦那だったが、運の良いことに主人に用事が出来て いきなり番台に座らせてもらうことに
これで女湯が見られると喜んだ若旦那だったが、客がいるのは男湯ばかり。面白くないので得意の妄想をはじめる
若旦那:
「痩せ過ぎず太り過ぎず 年のころは25,6 きれいな女がお供を連れて下駄履きで来るよ
あら?新しい番台さん?いい男っぷりじゃないの たちまち俺にホの字になる…」
何を一人でやってるんだ?と気味悪がる客達。若旦那の仕草をボーっと見ていてうっかり軽石で鼻を擦り血だらけになる者も
若旦那:
「さしつさされつ酒を酌み交わし 彼女の顔がだんだん色っぽくなってくる ねえ泊まっていきなさいよ。いえ今日は帰らなくては…」
妄想も最高潮に達したところで
客:
「おい」
若旦那:
「何ですか せっかくいいところだったのに」
客:
「おまえがちゃんと見てないから俺の下駄がないぞ!」
若旦那:
「ではそちらの下駄を履いて帰ってください」
客:
「それはおまえの下駄かい?」
若旦那:
「いいえ 他の人のものです」
客:
「じゃあ俺が履いて帰ると怒るだろう?」
若旦那:
「最後の人は裸足で帰ってもらいます」
江戸時代の銭湯 番台に座らなくても女湯は見れた?
防火や水の確保が難しかった江戸時代、武家も含めて個人宅に風呂というものはほとんど作られませんでした。
かわりに湯屋(銭湯)は江戸中のいたるところにあり男性専用風呂が141件、女性専用風呂が11件。驚くことに男女兼用混浴風呂は371件ありました。(1808年 文化5年時点)
※何度か禁止令が出ていますが、明治新政府の厳重な取り締まりが行われるまで混浴は続いています。
また男でも堂々と女湯に入れる身分の人がいました。同心は女湯に捜査のために潜入し、男湯で密談が行われていないか聞き耳を立てていたといいます。
昼間は女性客は少なかったと言いますが^^;
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