*

落語 千両みかんのあらすじ 紀伊国屋文左衛門はみかんで財を成せたか?

公開日: : 最終更新日:2019/08/03 人情噺, 滑稽噺 , , ,

千両みかん

大店の若旦那が夏の盛りに病気になってしまった

日に日に衰えていき、食べ物も喉を通らないほど
布団
心配した大旦那が「食べたいものはないか」と聞くと若旦那は「蜜柑が食べたい」という

今はみかんの手に入る季節ではなく、困り果てた大旦那だったが、忠義者の番頭が

番頭:
「私が探してきましょう」

と名乗り出る

夏の真っ盛りにみかんを探して江戸中を東奔西走する番頭だったが、季節が季節だけに簡単には見つからない
みかん
ふらふらになりながら見つけた手がかりが、神田の果物問屋万惣の名前

番頭は藁にもすがる思いで神田万惣をたずね主人にわけを話す

話を聞いた主人、みかん蔵を開け店の者を大勢動員してすべてのみかん箱を外に運び出す
みかん蔵
あの箱もだめ、この箱もだめと次々と食べられるみかんを探すが、どのみかんも暑さで腐っている

ようやく一つだけ無事なみかんを見つけた。

喜んだ番頭は一両差し出しみかんをもとめたが、なんとそのみかんの代金は千両

急いで店に帰り大旦那に相談したところ

大旦那:
「息子の命が千両なら安い」
千両箱
ということで千両箱をもって再び万惣へ。買い取った千両のみかんを大事に持ち帰り、さっそく寝込んでいる若旦那のところへ

皮をむいてみるとみかんはちょうど十房ある

若旦那:
「こんなにおいしいみかんが食べられるなんて」

と少し元気を取り戻した若旦那の横で、みかんが一房食べられるたびに百両、二百両と勘定する番頭

若旦那:
「せっかく番頭が苦労して手に入れてくれたみかんです。両親と番頭で残り三房は分けてください」

三房のみかんを手渡された番頭
みかん房
番頭:
「三房…これで三百両…」

番頭は残りのみかんを持っていずこへと逃げてしまった。

みかんの相場と千両という金額について

高いみかんと聞くと思い浮かぶのが紀伊国屋文左衛門が紀州から命がけでみかんを江戸へ運んだ伝説

これは元禄時代のみかん相場を考慮すると実話ではなく伝説だということです。

当時のみかん船は小さく700籠くらいしか積載できず、1籠半で一両が最高値

船や船頭に手間賃を払うと手元にはそれほど残らず、みかんでは現在伝えられている破天荒な散財のエピソードが実現できるほどの儲けはなかったと考えられます。

千両役者という言葉もありましたし、日本橋の魚河岸は一日に千両のお金が動くといわれるほど、千両は大金で現代で言うと一億円くらいの価値がありました。

三百両というと三千万円…番頭の地位を捨ててドロンしてまで割に合うのかは疑問です

ちなみに十両盗めば首が飛ぶ時代ですから番頭の未来に幸あれといったところです(笑)

噺に登場する果物問屋万惣

噺に登場する万惣 弘化二年(1845年)創業当時は果物問屋でした。現在は小売店となっていますが、神田須田町に実在する老舗です。

今はまわりはビルが建ち並んでいますが、当時は青果市場が近く問屋が軒を連ねていました。

落語一覧へ




関連記事

玄翁

落語 子は鎹(かすがい)のあらすじ かすがいとは?タッカーとの違い

子はかすがい 遊女に入れあげた挙句 女房と大喧嘩をしてしまった大工の熊五郎。愛想を尽かせた女房のお

記事を読む

落語 宗論のあらすじ 宗論はどちらが勝っても釈迦の恥

宗論 店が忙しいというのに若旦那が朝から姿を見せない。 番頭の話によると どうやら若旦那はキ

記事を読む

長屋の花見

落語 長屋の花見のあらすじ 江戸時代の桜の種類とは

長屋の花見 ある日貧乏長屋の住人達に大家さんから呼び出しがかかる。 誰もまともに家賃なん

記事を読む

三年目の幽霊

落語 三年目のあらすじ 死者の髪の毛を剃る意味とは?

三年目 病気の妻をやさしい夫が一生懸命に看病するが、一向によくならない。 自分の死が近づいて

記事を読む

看板のピン

落語 看板のピンのあらすじ ちょぼいちのルールとは

看板のピン 若い衆が集まるサイコロ賭博にこの道ではかなり年季の入った渋い親分がふらりと現れる。

記事を読む

落語 お菊の皿(皿屋敷)のあらすじ どこにあるのかお菊の井戸

お菊の皿(皿屋敷) 町内のヒマな若い衆がご隠居の元をたずねる。目的は「今度皆で肝試しをしたいが

記事を読む

家

落語 宿屋の富のあらすじ

宿屋の富 馬喰町の暇そうな宿屋にふらりと泊まりに来た小汚い身なりの男 主人はせっかく来てくれ

記事を読む

鳥居

落語 明烏(あけがらす)のあらすじ 吉原で遊ぶ時のルールとは

明烏(あけがらす) 二十一歳になる一人息子の時次郎があまりにも堅物なことを心配し、「客商売が世

記事を読む

大店

落語 薮入りのあらすじ 薮入りの意味と江戸時代の休みについて

薮入り 奉公に出た息子の亀吉が久しぶりに帰ってくることになった。 三年ぶりに会える息子の

記事を読む

落語 本膳のあらすじ 本膳料理とは何か?

本膳 長屋の男たちの元へ大家さんから手紙が届く 誰もまともに字が読めないものだから「これはひ

記事を読む

Message

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

落語 野ざらしのあらすじ オチの馬の骨だったか!の意味とは?

野ざらし 長屋の八五郎が隣に住む先生の元をたずねる。 昨晩

落語 化け物使いのあらすじ 驚愕の奉公人の年間休日数とは?

化け物使い 人使いの荒いことで有名なあるご隠居 朝から晩まで働

馬
落語 付き馬のあらすじ オチの馬に行けとは?

付き馬 吉原のある店に金持ち風の男がと登楼してくる。その晩 男は

落語 黄金餅のあらすじ 西念が飲み込んだ金について

黄金餅 ケチ坊主の西念が病で寝込んでいると聞いて隣に住む金兵衛が

金蔵
落語 味噌蔵のあらすじ 防火対策の目塗りとは?

味噌蔵 ケチで有名な商屋の旦那の奥さんに男の子が生まれたというと

→もっと見る

PAGE TOP ↑