*

落語 明烏(あけがらす)のあらすじ 吉原で遊ぶ時のルールとは

公開日: : 最終更新日:2019/07/22 滑稽噺 , ,

明烏(あけがらす)

二十一歳になる一人息子の時次郎があまりにも堅物なことを心配し、「客商売が世間知らずでは困る」と悩んだ末に町内でも有名な遊び人の源兵衛と太助に息子を一晩吉原に連れ出してくれと頼んだ。

源兵衛:
「だんな、よろしゅうございますよ。柔らかいものを硬くするのは難しいですが、硬いものを柔らなくするのは造作もないことで。きっと柔らかくしてさしあげます」

そんなこやり取りがあったとは何も知らない若旦那の時次郎。江戸中が稲荷祭りに浮かれる初午の日(二月の最初の午の日)お稲荷さんに泊り込みのご参詣に行きましょうと騙されて、まんまと吉原に連れて行かれてしまった。
鳥居
源兵衛:
「さあここが有名な大門…いや鳥居でして」
若旦那:
「これが鳥居ですか、黒い鳥居とはめずらしゅうございますね」
源兵衛:
「ではお茶屋…いや巫女さんに支度をしてもらいますから、太助とここで待ってておくんなさい」

とかなんとか言い合っているうちに、若旦那はここが吉原の中の女郎屋だということに気付いてしまい、帰りたいとダダをこね出してしまう。

どうしても一人で帰るという若旦那に

源兵衛:
「若旦那、さっき鳥居と言った所は有名な吉原の大門だ。三人一緒に入ってきたのに こんな早くに若旦那一人で帰ろうなんて怪しい奴と止められて、番人にふんじばられてしまいますぜ」

二人に散々脅されて観念した若旦那。ところがそのうぶさ加減をなぜか気に入った花魁の浦里が敵娼を名乗り出てたっぷり一晩もてなした。
花魁
夜が明けて源兵衛、太助の両人は揃ってフラれて欲求不満。

源兵衛:
「そろそろ若旦那を起こして帰ろうや」

二人して花魁の部屋へ行ってみると若旦那はニヤついて布団から出てこない

若旦那:
「いやいや、けっこうなおこもりでした」
源兵衛:
「おい聞いたかい。昨日はメソメソ泣いてたくせに。若旦那こういうのは切り上げ時が大切です。今日は引き上げましょう」
若旦那:
「でも花魁が布団の中で私の手をはなしませんので」

とのろけ始めたものだから二人はあきれて

源兵衛:
「もうやってらんねえや、それじゃあ若旦那、ゆっくり遊んでらっしゃい。俺たちゃ先に失礼しますよ」
若旦那:
「帰れるもんなら帰ってごらんなさい。大門でとめられてふんじばられてしまいますよ

吉原の変遷

吉原は元和元年(1617年)にできた幕府公認の遊郭。それまで各地に点在していた見世を一箇所に集めることにより、管理するのに都合がいいということで日本橋葺屋町に開設されました。

葦(よし)の湿地に集められたということで吉原の名前はそこからきています。

最初は昼間の営業をしておりましたが、明暦三年(1657年)の大火により全焼し、浅草寺の裏に移転し夜間の営業が行われるようになりました。

夜間営業となると武士は夜、特別な用事がない場合屋敷にいる義務がありましたので、主な客は町人へと変わっていき元禄の頃に最盛期を迎えます。

吉原で遊ぶ時のルール

遊女と床をともにするには馴染みになる必要があり、初回、再会、三会目と最低三回通わなければならず、いきなり迫ったりするのは野暮とされました。(店にコントロールされているだけの気もしますが)

複数回通っても振られることもあり、花魁などは3回でも同衾するのは至難の技で吉原は完全に女性上位の世界だったそうです。

噺の中の若旦那が初回で床をともにしていますが、落語ならではのファンタジーと言えるのではないでしょうか。
※もちろん大いにけっこうですが(笑)

落語一覧へ



関連記事

看板のピン

落語 看板のピンのあらすじ ちょぼいちのルールとは

看板のピン 若い衆が集まるサイコロ賭博にこの道ではかなり年季の入った渋い親分がふらりと現れる。

記事を読む

落語 初天神のあらすじ 初天神の日と縁日の意外な正体とは?

初天神 大工の熊五郎が一人で初天神に出かけようとするが、女房に倅の金坊を連れていけと言われてしまう

記事を読む

孔子

落語 二十四孝(にじゅうしこう)のあらすじ 中国の書物二十四孝とは?

二十四孝(にじゅうしこう) 乱暴者の熊五郎が大家さんのところへ駆け込んでくる 何でも母親

記事を読む

落語 お菊の皿(皿屋敷)のあらすじ どこにあるのかお菊の井戸

お菊の皿(皿屋敷) 町内のヒマな若い衆がご隠居の元をたずねる。目的は「今度皆で肝試しをしたいが

記事を読む

子はかすがい大工

落語 大工調べのあらすじ ラスト(オチ)の細工は流々…って何?

大工調べ ちょっと抜けている大工の与太郎 仕事があるというのに近頃まったく現場に出てこない

記事を読む

落語 ぞろぞろのあらすじ 雨の日に履かれたのは草履?

ぞろぞろ 少々荒れ果てたお稲荷さんの隣で茶屋を営んでいる老夫婦。茶屋だけではたいした儲けになら

記事を読む

相談

落語 あくび指南のあらすじ 江戸時代人気のあった習い事とは?

あくび指南 町内にできた「あくび指南」の道場の看板を見て、新しいもの好きの男が興味を持つ ただ一

記事を読む

湯屋番

落語 湯屋番のあらすじ 合法的に銭湯の女湯に入るには?

湯屋番 大工の熊の家に居候している若旦那。 毎日飲んでは寝てばかりなので、熊はともかく女房が不満

記事を読む

猫の皿

落語 猫の皿のあらすじ

猫の皿 田舎の家々を回っては骨董品を買い集め 江戸に帰るとそれを転売して生計を立てている男

記事を読む

落語 片棒

落語 片棒のあらすじ

片棒 けちが服を着て歩いているとケチで有名な赤西屋の大旦那。人呼んで赤西屋ケチ兵衛。 若いこ

記事を読む

Message

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

落語 お菊の皿(皿屋敷)のあらすじ どこにあるのかお菊の井戸

お菊の皿(皿屋敷) 町内のヒマな若い衆がご隠居の元をたずねる。目

金蔵
落語 ねずみ穴のあらすじ オチの五臓の疲れとは?

ねずみ穴 親の遺産をすっかり食いつぶしてしまった遊び人の竹次郎が借金

落語 ぞろぞろのあらすじ 雨の日に履かれたのは草履?

ぞろぞろ 少々荒れ果てたお稲荷さんの隣で茶屋を営んでいる老夫婦。

落語 万金丹のあらすじ 江戸時代の薬について

万金丹 旅の途中で路銀が尽きて行き倒れ一歩手前の辰五郎と梅吉

落語 松山鏡のあらすじ 死んだ人に会うにはどうする?

松山鏡 松山村に住む正直なことで評判な正助 その評判は殿様

→もっと見る

PAGE TOP ↑