*

落語 強情灸のあらすじ 江戸っ子と上方の金銭感覚について

公開日: : 最終更新日:2019/07/22 滑稽噺 ,

強情灸

よく効くと評判のお灸の店「峰」の灸はやたら熱いことでも巷では評判
そこへ言ってきたという友人の話を聞いて男がひとつ試してやろうと「峰」へ出かける。

店に着くとよく効くと評判なだけあって、店の前には長蛇の列だったが灸が怖くて尻込みしていた娘さんに順番を譲ってもらってなんなく入店した。

店の人から
店員:
「うちの灸は大変熱いですよ 大丈夫ですか?」
と念を押された男は腹は立てつつも内心ビクビクしながらも負けず嫌いなものだから勇ましく啖呵を切る

男:
「なんだそんな米粒みたいな灸、俺なんか富士山ほどの灸だってビクともしねえや、だいたい灸ぐらいで熱いって逃げ出す奴は江戸っ子の看板おろせってんだよ」

店の人もよしそれならばと、おにぎりのようにでかい灸を男に据えたからたまらない。

男はカチカチ山の狸のように煙を上げながらも啖呵を切り続ける。




男:
「なんのこれしき、八百屋のお七は火あぶりにされたんだ。石川五右衛門なんて釜茹でにされながら辞世の句まで詠んだって話だ。江戸っ子ならこんなもん屁でもねえ!」

だが段々と火が回ってくると啖呵は呻き声に変わる。
男:
「く~っ 石、石、石川…」

そこで店の人は
店員:
「熱いでしょう無理はやめておきなさい」
と降参をすすめるが

男:
「誰がそんなこと 平気だって言ってるだろうが!あっつ、熱!」
我慢できずに思わず灸を払い落としてしまった

店の人は真っ赤になった男の腕に水をかけてやると
店員:
「どうです?熱かったでしょう?」
男:
「いや~俺は熱くなかったが石川五右衛門はさぞかし熱かったろう

江戸っ子について

「江戸っ子」という言葉が初めて登場するのは明和8年(1771年)の「江戸っ子のわらんじをはくらんがしさ」
という川柳といわれています。江戸っ子は草鞋を履くのも騒がしいというような意味です。

また今日の江戸っ子のイメージとしては「金ばなれがいい」「いき」「はり」「いなせ」などでしょうか。

「いき」は垢抜けして洗練された色っぽさ、「はり」は反抗心を含む心意気、「いなせ」は威勢のよさを表します。

落語的な脚色も大いにありますが、噺の中に登場する男は「はり」と「いなせ」を兼ね備えた江戸っ子のようです。

金ばなれについては「宵越しの銭はもたない」「江戸っ子の生まれ損ない金を貯め」
などと江戸っ子金銭感覚を表現したりします。

一方、上方の井原西鶴は著書の日本永代蔵の中で「人は人たるためには金銀を貯めなければならぬ」と記しており、江戸と大阪ではかなり金銭に対する感覚が異なったように思われます。

落語一覧へ



関連記事

開帳

落語 開帳の雪隠(かいちょうのせっちん)のあらすじ 回向院で行われた出開帳とは

開帳の雪隠 両国回向院のそばで子供相手に駄菓子屋を営んでいる老夫婦 今は出開帳の真っ最中

記事を読む

落語 干物箱のあらすじ 何でもお金になった江戸時代の芸。声色つかいとは?

干物箱 遊んでばかりなのを懲らしめようと、大旦那は息子の徳三郎を店の二階に軟禁してしまう。

記事を読む

大山詣り念仏

蒟蒻問答(こんにゃくもんどう)のあらすじとオチ 修行僧と問答の意味について

蒟蒻問答 昔はやくざ者だったが今ではすっかり足を洗い蒟蒻屋を営んでいる六兵衛。足を洗ったという

記事を読む

紀州

落語 妾馬(めかうま)のあらすじ 町娘がいきなり大奥へ?本当にあった?

妾馬(めかうま) ある日 長屋の大家さんのところに身なりのいい武士が訪ねてくる。 先ほど

記事を読む

湯屋番

落語 湯屋番のあらすじ 合法的に銭湯の女湯に入るには?

湯屋番 大工の熊の家に居候している若旦那。 毎日飲んでは寝てばかりなので、熊はともかく女房が不満

記事を読む

落語 素人鰻(殿様鰻)のあらすじ 実は歓迎された?武士の商売について

素人鰻 江戸から明治の世となり武士は士族と呼び名が変わる。幕府もなくなり自分で商売をしようと考

記事を読む

紅葉

落語 千早振るのあらすじ 江戸時代の豆腐事情とは

千早振る ご隠居のところに熊さんが血相を変えて転がり込んでくる。 娘が百人一首に凝りだし

記事を読む

三年目花嫁

落語 たらちねのあらすじ 女子が目指した武家屋敷への奉公について

たらちね 人は良いが貧乏なためになかなか嫁の来手がなかった八五郎に長屋の大家さんが縁談を持ち込

記事を読む

落語 提灯屋のあらすじ オチの意味と噺の中の紋について

提灯屋 チンドン屋から提灯屋のチラシを受け取る長屋の若い衆 字ばかりのチラシで気になって

記事を読む

寿限無

落語 寿限無(じゅげむ)のあらすじ 寿限無とは仏教語?

寿限無 熊さん夫婦の家に男の子が生まれます。 その子供に名前をつけるのが親としての最初の

記事を読む

Message

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

落語 野ざらしのあらすじ オチの馬の骨だったか!の意味とは?

野ざらし 長屋の八五郎が隣に住む先生の元をたずねる。 昨晩

落語 化け物使いのあらすじ 驚愕の奉公人の年間休日数とは?

化け物使い 人使いの荒いことで有名なあるご隠居 朝から晩まで働

馬
落語 付き馬のあらすじ オチの馬に行けとは?遊郭での勘定のルール

付き馬 吉原遊郭のある店に金持ち風の男がと登楼してくる。その晩

落語 黄金餅のあらすじ 西念が飲み込んだ金について

黄金餅 ケチ坊主の西念が病で寝込んでいると聞いて隣に住む金兵衛が

金蔵
落語 味噌蔵のあらすじ 防火対策の目塗りとは?

味噌蔵 ケチで有名な商屋の旦那の奥さんに男の子が生まれたというと

→もっと見る

PAGE TOP ↑