*

蒟蒻問答(こんにゃくもんどう)のあらすじ 修行僧について

公開日: : 最終更新日:2019/08/03 滑稽噺 , ,

蒟蒻問答

昔はやくざ者だったが今ではすっかり足を洗い蒟蒻屋を営んでいる六兵衛。足を洗ったというものの面倒見の良さから江戸にいられなくなった者たちがたずねてくる。

そういう者たちを家において、しばらくすると仕事を紹介したり、草鞋銭を持たせて送り出していたので居候が絶えない。

今 居候を決め込んでいるのが八五郎という男。何か仕事をするわけでもなく二ヶ月経ちすっかり居ついてしまった。

六兵衛:
「おい八 このところ蒟蒻屋に人相風体の悪い男が出入りしていると村中で噂になってやがる。世間体が悪いからお前も何か仕事をしねえか」

気の進まない八五郎だったが、ちょうど空きのあった寺の住職におさまってしまった。
寺
ただ住職といってもお経が読めるわけでも、行(ぎょう)をするわけでもない。寺男の権助と毎日本堂で酒を飲んで寝転んでいる

お経も読めないくせに「この村には弔いがないから食えねえ」と不満をいう始末で住職らしいのは頭が坊主ということだけ

そんな八五郎の寺にある日 修行僧が訪ねてきた

修行僧:
「禅家の御寺とお見受け致します。大和尚ご在宅なれば、修行のため一問答願わしゅう存じます」
修行僧
門前の「葷酒山門に入るを許さず」と刻まれた戒壇石を見て問答を申し込んできたのだ

慌てた八五郎は「大和尚はいない」ごまかしたが修行僧は

修行僧:
「では命のあらん限り毎日参りますのでどうぞよろしく」

と言い残して去っていった

困った八五郎たちは、恥をかく前に夜逃げして別の空き寺へ移ろうと用意をしているところへ六兵衛がやってきた。

二人から事情を聞いた六兵衛は

六兵衛:
「じゃあ俺が大和尚に化けてその坊主を追っ払ってやろう。なあに簡単だ、何か言われても耳が遠いふりをして黙ってればそのうち疲れて帰るだろう。それでもダメなら角塔婆で張り倒して煮え湯をぶっかけちまえ」
塔婆
翌日修行僧がやったきた。大和尚のふりをした六兵衛に修行僧は禅問答を仕掛けるが、六兵衛は知らん顔をしている。修行僧は学識があるせいか、勝手に解釈をする。

修行僧:
「大和尚は禅家荒行のうち無言の行中と心得ました。しからば我も無言にて問う!」

修行僧が指で輪を作ると六兵衛が頭の上で手を広げて見せる。

修行僧 今度は手を開いて十本の指を突き出す
すると六兵衛はパッと片手を開いて見せる。

もう一問と三本の指を六兵衛に見せると
六兵衛は目の下を押さえる

すると修行僧は

修行僧:
「大和尚に遠く及びません 三年修行してまいります。これにて御免」

と本堂から走り去るところを八五郎が追いかけて呼び止める

八五郎:
「おい!何があったんだどっちが勝ったんだ説明してくれ」

修行僧:
「大和尚は禅家荒行のうち、無言の行のさなかと心得、こちらも無言で問いかけました

まず、大和尚の胸中は?との問いかけに”大海の如し”という鮮やかなるお答え

続いて”十方世界は?”に対し”五戒で保つ”とはお見事

及ばずながらもう一問と”三尊の弥陀は?”との問いかけに”目の下を見よ”とのお答えとは拙僧の及ぶところではございません」

感心しながら六兵衛の元へ戻るとなぜかカンカンに怒っている

六兵衛:
「あれは修行僧じゃねえ 物乞いの坊主だ俺の蒟蒻を貶しやがった

あの坊主 おめえんとこの蒟蒻はこんな小せえだろう!っていいやがった
蒟蒻問答輪っか
俺は大抵のことじゃあ怒らねえが商品を貶されちゃあ黙っていられねえ。こんなにでけえやいって言ってやった
蒟蒻問答大きい
するとどうだ10丁でいくらだ?っていうから
蒟蒻問答10丁
ちょっと高けえかなと思ったけど500だって言ってやった
蒟蒻問答500
するとあのケチ坊主300にマケろって言いやがったから
蒟蒻問答300
あっかんべえをした
蒟蒻問答あっかんべえ

蒟蒻問答たずねてきた修行僧について

我は越前の国永平寺学堂におりまする沙弥托善(しゃみたくぜん)諸国雲水行脚の僧にございます
本文中では省略しましたがこのようなセリフが入ります

永平寺から来たということは宗派は曹洞宗ということになります。
※一般的に曹洞宗、臨済宗、黄檗宗を総称して禅宗といいます。禅家=禅宗の寺、禅宗の僧侶

沙弥(しゃみ)は現代では得度前の見習い期間の僧である事を意味します
托善(たくぜん)というのがたずねて来た修行僧の名前です

門前の石に刻まれた「葷酒山門に入るを許さず(くんしゅさんもんにいるをゆるさず)」とは修行の妨げになるようなものを寺院内に持ち込むことを許さないという意味

さすがに現代では諸国を行脚して禅問答はしていないでしょうが、永平寺では常に200名以上の雲水が修行に励んでおり700年以上の伝統を保っています。

落語一覧へ



関連記事

落語 提灯屋のあらすじ オチの意味と噺の中の紋について

提灯屋 チンドン屋から提灯屋のチラシを受け取る長屋の若い衆 字ばかりのチラシで気になって

記事を読む

落語 松山鏡のあらすじ 死んだ人に会うにはどうする?

松山鏡 松山村に住む正直なことで評判な正助 その評判は殿様の耳に入り 殿様はぜひ会いたい

記事を読む

ねずみ

落語 ねずみのあらすじ 左甚五郎は架空の人物?

ねずみ 江戸時代の名工左甚五郎が旅の途中でフラリと宿場町を訪れた。そこで宿を探していると、子供

記事を読む

山登り

落語 愛宕山のあらすじ かわらけ投げについて

愛宕山 旦那のお供で京都へ行くことになった幇間(太鼓もち)の一八。愛宕山へ登ることになったが、

記事を読む

落語 家見舞(こいがめ)のあらすじ

家見舞い 日頃世話になっている兄貴分が引っ越しすることを聞いた長屋暮らしの八と熊 引っ越し祝

記事を読む

落語 そばの殿様のあらすじ 以外に歴史が浅いそば切りについて

そばの殿様 親戚の屋敷に招かれた時にそば職人がそば打ちをするのを見て、自分もやってみたくて仕方がな

記事を読む

落語 干物箱のあらすじ 何でもお金になった江戸時代の芸。声色つかいとは?

干物箱 遊んでばかりなのを懲らしめようと、大旦那は息子の徳三郎を店の二階に軟禁してしまう。

記事を読む

紅葉

落語 千早振るのあらすじ 江戸時代の豆腐事情とは

千早振る ご隠居のところに熊さんが血相を変えて転がり込んでくる。 娘が百人一首に凝りだし

記事を読む

湯のみ

落語 二番煎じのあらすじ 江戸時代の治安維持のシステムとは

二番煎じ 寒い夜に番小屋に町の旦那衆が夜回りのために集まっている。 夜回りのために外に出

記事を読む

長屋

落語 粗忽長屋のあらすじ 色々なランクがある長屋について

粗忽長屋 そそっかしい八五郎が浅草の観音様にお参りした帰り道 人だかりが出来ているのに出くわす

記事を読む

Message

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

no image
落語 味噌蔵のあらすじ 防火対策の目塗りとは?

味噌蔵 ケチで有名な商屋の旦那の奥さんに男の子が生まれたというと

紀州
落語 妾馬(めかうま)のあらすじ 町娘がいきなり大奥へ?本当にあった?

妾馬(めかうま) ある日 長屋の大家さんのところに身なりのいい武

落語 浮世根問のあらすじ オチのろうそく立てになっているの意味とは?

浮世根問 長屋の熊五郎がご隠居の元を訪ねてくる なにやら聞

落語 猫の忠信のあらすじ 義経千本桜のパロディー部分を解説

猫の忠信 次郎吉が長唄の稽古に行こうと同じ長屋に住む六兵衛を誘いにく

落語 提灯屋のあらすじ オチの意味と噺の中の紋について

提灯屋 チンドン屋から提灯屋のチラシを受け取る長屋の若い衆

→もっと見る

PAGE TOP ↑