*

落語 首ったけのあらすじ 吉原遊郭から遊女の逃亡を防いだ仕組みとは?

公開日: : 最終更新日:2021/12/19 人情噺, 滑稽噺 , ,

首ったけ

吉原の馴染みの花魁 紅梅がなかなかやって来ないので座敷で一人イライラしている

隣の部屋で紅梅と別の客がドンちゃん騒ぎをしているのが聞こえるので、それもイライラに拍車をかける

とうとう店の者を呼びつけて「いつまで待たせるんだなんとかしろ」と文句を言い、それを聞いた紅梅が慌てて辰の元へやってくる。
花魁
それでもイライラが収まらない辰は紅梅に不満をぶつけ、それを紅梅がなんとかなだめる格好に

だんだん紅梅の方もその日の忙しさもあって腹を立て「それならお帰りよ」とつい言ってしまう

売り言葉に買い言葉で辰も「もう二度と来るか」と店を出たものの夜が更けていてどのこ店も開いていない
夜
どうしたもんかと思案していると、向かいの店の戸が開き 店の若い衆が顔を出した

若い衆:
「これはこれはお向かいの紅梅姐さんの良い人 辰さんじゃございませんか」

若い衆は辰のことを知っているようで愛想よく話しかける。

辰はかくかくしかじかと今に至った経緯を話すと若い衆は「それはひどい目に遭いましたね」と話を聞き

若い衆:
「うちの花魁の若柳があなたに岡惚れしているらしくて、いつもあなたの話をしてますよ」

とうまいことを言うもんだから辰もその気になって店に上がってしまう。その夜は若い衆の言う通り若柳に大いにもてて辰は上機嫌。それからというもの何度も通う馴染み客になってしまった。

ある日、半鐘の音が吉原のほうから鳴り響いた。
火の見櫓の半鐘
辰も若柳のことが気になって仕事を放り投げて吉原へ向かうが、吉原の大門辺りは黒山の人だかりでとても中へは入れない。

そうしてる間も廓の中から次々と遊女や使用人達が逃げ出てくる。そのうちの一人がつまづいて廓を囲んでいるお歯黒ドブへ落ちてしまった。

辰は思わず手を差し伸べたが、首まですっぽり浸かって助けを求めるその人物はなんと辰を袖にした紅梅だった。
ドブ
辰:
「おっと、誰がおまえなんか助けるか!」

そこでドブの中から首だけ出した紅梅が

紅梅:
「助けておくれよ。今度ばかりはあんたに首ったけだよ

吉原遊郭から遊女の逃亡を防いだものは

吉原にいる遊女には借金があるので年季が明けるか、お大尽に身請けされるかするまで逃亡を監視する必要がありました。

吉原遊郭への出入り口は正面にある大門以外になく、その唯一の出入り口には各店から派遣された若い衆が詰める四郎兵衛番所(しろべえばんしょ)というものがあり、廓内の治安維持と遊女の逃亡を監視しました。

また門を通らずに廓の塀を越えて逃げられないように周囲をお歯黒どぶという堀で囲まれていたそうです。汚水が流れていて真っ黒だったのがその名の由来とか。そんなところに嵌ってしまうとかちょっとブルっとしてしまいます。

噺の中でも火事の場面が登場しますが、吉原遊郭は夜間営業だったため火事になることもままあったようです。焼け出されてしまうと仮設の建物で臨時営業するわけですが、そうなると堅いしきたりなどは省略され庶民や貧乏侍も相手にしてもらえたとのこと。江戸時代初期は完全に裕福な人の社交の場でしたが、火事は吉原の庶民化に一役買ったという説もあります。

落語一覧へ

関連記事

開帳

落語 開帳の雪隠(かいちょうのせっちん)のあらすじ 回向院で行われた出開帳とは

開帳の雪隠 両国回向院のそばで子供相手に駄菓子屋を営んでいる老夫婦 今は出開帳の真っ最中

記事を読む

骨董

落語 金明竹(きんめいちく)のあらすじ 出てくる道具は何なのか?

金明竹 甥っ子の松公を預かることになった道具屋の主人だったが 松公はどこか抜けていて、何をやら

記事を読む

抜け雀

落語 抜け雀のあらすじ 駕籠かきとはどんな職業だったか

抜け雀 とある宿場町の宿屋に汚い身なりで泊まった若い男。 男は毎日酒を飲んで外に一歩も出

記事を読む

落語 猫の災難のあらすじ

猫の災難 酒は飲みたいが買う金はない そんな八五郎のところへ猫が鯛の頭をくわえてやってきた。猫

記事を読む

崇徳院

落語 崇徳院(すとくいん)のあらすじ 江戸時代結婚相手はどう探したか

崇徳院 大店の若旦那が寝込んでしまい医者が診てもよくならない。 病気以外に何か理由があり

記事を読む

石川五右衛門

落語 お血脈のあらすじ 大泥棒石川五右衛門は実在した?

お血脈 信州の善光寺にはありがたい「血脈の印」というものがある。 これを額に押してもらうと、

記事を読む

落語 文違いのあらすじ 騙し騙されの相関図

文違い 新宿の女郎 お稲が二人のなじみ客に金を無心する手紙を送る 一人はお稲にぞっこんの

記事を読む

紀州

落語 妾馬(めかうま)のあらすじ 町娘がいきなり大奥へ?本当にあった?

妾馬(めかうま) ある日 長屋の大家さんのところに身なりのいい武士が訪ねてくる。 先ほど

記事を読む

三年目花嫁

落語 たらちねのあらすじ 女子が目指した武家屋敷への奉公について

たらちね 人は良いが貧乏なためになかなか嫁の来手がなかった八五郎に長屋の大家さんが縁談を持ち込

記事を読む

馬屋火事

落語 厩火事(うまやかじ)のあらすじ 高収入だった?江戸時代の女性髪結い師

厩火事 髪結いのお崎は亭主の八五郎とすぐに夫婦喧嘩になってしまう。 今日も喧嘩をしてご隠

記事を読む

Message

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

落語 野ざらしのあらすじ オチの馬の骨だったか!の意味とは?

野ざらし 長屋の八五郎が隣に住む先生の元をたずねる。 昨晩

落語 化け物使いのあらすじ 驚愕の奉公人の年間休日数とは?

化け物使い 人使いの荒いことで有名なあるご隠居 朝から晩まで働

馬
落語 付き馬のあらすじ オチの馬に行けとは?遊郭での勘定のルール

付き馬 吉原遊郭のある店に金持ち風の男がと登楼してくる。その晩

落語 黄金餅のあらすじ 西念が飲み込んだ金について

黄金餅 ケチ坊主の西念が病で寝込んでいると聞いて隣に住む金兵衛が

金蔵
落語 味噌蔵のあらすじ 防火対策の目塗りとは?

味噌蔵 ケチで有名な商屋の旦那の奥さんに男の子が生まれたというと

→もっと見る

PAGE TOP ↑