落語 火焔太鼓(かえんだいこ)のあらすじ 道具屋とサゲオチのオジャンについて
火焔太鼓
人はいいのに商売が下手な道具屋の店主 甚兵衛
お客が「いい箪笥だね」褒めれば「うちに6年もあります」
「引き出しを開けてみてくれ」といわれると「開くくらいならとっくに売れてます」
万事こんな具合なので、いつもおかみさんにも怒られてばかり。今日も市で汚れた太鼓を仕入れてきて小言を言われている
女房:
「太鼓なんてもんは、目利きが難しいもんなんだよ。それにしても汚い太鼓だね」
甚兵衛:
「汚いんじゃあない、よく使い込まれたありがたいもんだ」
さっそく店の小僧さんにはたきをかけるようにいいつけるが、はたいているだけなのに不思議とドンド~ンといい音が響く
それをたまたま通りかかった殿様の遣いが来て
家来:
「音をお聞した殿が是非太鼓を見たいとおおせなので屋敷へ持参せよ」
とのお達し
甚兵衛:
「そら見ろもう売れた俺の目利きは間違いない」
と得意顔の甚兵衛だが、おかみさんは
女房:
「殿様は音だけ聞いただけだから、こんな汚いものを屋敷に持っていったら松の木に吊るされちまうよ」
と心配する
甚兵衛もおかみさんに色々怖いことを言われておっかなびっくり屋敷に到着すると屋敷にいる家来に
甚兵衛:
「殿様にお見せすると木に吊るされるかもしれませんので、出来ればあなたが買ってください」
とトンチンカンなことを言ってしまう。しかし殿様がいうにはこの太鼓は火焔太鼓と言って国宝と言ってもいいくらいの名品三百両で買い上げるという
これまで散々目利きの腕前を馬鹿にされていた甚兵衛は飛び上がるようにして家へ戻る
家へ帰り屋敷での経緯を話すが、おかみさんはそんな筈はないと信じない。甚兵衛が屋敷でもらった小判を見せるとおかみさんはようやく信じて大変驚いた
女房:
「あんたは商売が上手だよ。やっぱり鳴り物はいいねえ。今度からは半鐘にしなよ」
甚兵衛:
「半鐘はいけねえ、オジャンになるから」
サゲと道具屋について
サゲは火の見櫓に下げられている半鐘の音が「ジャ~ン」と鳴るのと、計画がダメになる”オジャン”をかけたもの
他にもサゲに種類があり、太鼓だけにバチが当たるよ、太鼓でドンドン儲かるよなどがあります。
噺の道具屋ですが色々な種類があり、名品骨董品を扱っているのも道具屋。単に中古品を扱っているのも道具屋。この噺のようにガラクタを集めて売っているのも道具屋です。
露店のような怪しげな店とは異なり、店舗を構えてはいますが、どうやら目利きに問題があるようで夫婦で苦労をしている様子笑
骨董屋よりも江戸時代は今よりも古着などが当たり前の時代でしたから、中古品を扱う道具屋の方が目利きが要らず、安定していたのではないでしょうか?
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