落語 文違いのあらすじ 騙し騙されの相関図
文違い
新宿の女郎 お稲が二人のなじみ客に金を無心する手紙を送る
一人はお稲にぞっこんの町人の半七
“強欲な育ての親に強請られている、縁を切るためには10両必要なのでなんとか工面してくれないか云々”
もう一人は少し通人気取 田舎の御大尽の角蔵
“故郷の母親が病気で治療のために20両の金が必要だが頼れるのはあなたしかいない なんとか工面してくれないか云々”
金を持って登楼してきた二人をそれぞれの部屋に通すと すんなり受け取っては値打ちがないと思ったか散々勿体つけてから受け取るお稲
順に10両と20両、合計30両のお金を受け取ると二人を待たせたままどこかへ行くお稲
部屋に一人残された半七が部屋の片隅にふと目をやるとお稲の煙草入れから手紙がはみ出しているのを見つける
何気なく読んでみるとそれは 芳次郎という男がお稲に宛てた手紙だった
“私 芳次郎の眼病治療のための30両をご用立て頂けるとのお手紙 甚だかたじけなく云々”
なんとお稲が金を無心した目的は芳次郎へ渡すためだったのだ。だまされたと悟った半七は腹を立ててしまう。
お稲は芳次郎からの手紙を読まれたことに気付かないまま これまた別の部屋で待たせていた芳次郎という惚れた男の元へ
芳次郎はすまなさそうに30両を受け取ると お稲が今夜は泊まって行けと言うのに対し「目の治療は一刻を争うから」とさっさと帰ってしまう。
芳次郎が帰った後、ふと見ると手紙が落ちている。見れば小筆という女が芳次郎に宛てて書いた手紙だった
“強欲な兄のせいで妾に出されそうになっております。それが嫌なら50両出せとの無理難題 20両は工面したものの残り30両がどうにもなりません。 それをあなた様は用立ててくださるとのお申し出大変有難く云々”
お稲の方も芳次郎に利用されていたのだ。惚れている芳次郎にだまされて悔しいやら情けないやら
そんな状態で半七を待たせている部屋に戻ると半七もカンカン お稲が開き直るものだから二人はつかみ合い大喧嘩になる
その騒ぎは別の部屋で待っているもう一人の被害者 角蔵のところへも聞こえてくる
聞こえてくる内容を要約すると どうやらお稲がどこかの色男から金をもらったとか もらわないのが原因の喧嘩らしい
そこで角蔵は店の若い衆を呼ぶと
角蔵:
「お稲の持っている金は故郷のかか様の療養のための20両だ けっして色男からもらった金ではねえのす こういって喧嘩をおさめてくるがよかんべえ」
そう言ったものの角蔵は少し慌てて
角蔵:
「ちっと待った ダメだダメだ そったらこと言ったら
おらが色男だというのがバレちまうもの」
文違い相関図
知らぬが仏の角蔵も含めた男女のだましだまされての相関図!
最後にお金を手にしたのは小筆という女性ですが、果たして手紙の内容は真実なのか?
※たぶん芳次郎もだまされているのではないかと笑
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