*

落語 元犬のあらすじ オチの解説

公開日: : 最終更新日:2019/10/27 滑稽噺 , ,

元犬

人間になりたくて蔵前の八幡様に願をかけ始めた白犬のシロ
願掛けをはじめて21日目の満願の日 突然不思議な風が吹いた。

風はシロの毛をすべて吹き飛ばしてしまい 気が付くといつの間にか犬から人間の姿に
元犬神社
念願かなったはいいが毛が抜けてしまったものだから真っ裸
寒くて困っているところに いつもかわいがってくれていた口入屋の主人が通りかかる

シロ:
「御主人お久しぶりです。私シロです。わかりますか?」

口入屋:
「四郎さん?わからないなぁ…」




「まあそんな恰好じゃあ寒いでしょう」と着物を手渡されると、初めてなので着物を上手く着られないし、下駄は両手両足に履いてしまう始末

「行き先がない」という話をするシロ それを聞いた口入屋の主人はちょうど男手を探しているご隠居がいるから「そこで世話になってみては?」と勧めてくる

実は件のご隠居は変わった人が好きで シロはうってつけと思ったからだ。さっそく口入屋にご隠居の元へ連れて行ってもらい、一通り紹介してもらうシロ
元犬ご隠居の家
ご隠居:
「よく来てくれたね。うちにはモトという女中がいるから わからないことがあれば聞くといい。気立てのいい子だから親切に教えてくれるよ。ところであなたのお生まれは?」

シロ:
「はい 裏長屋の八百屋と魚屋の間で生まれました」

ご隠居:
「そこはごみ溜めだが…なるほど謙虚なんだね。ご家族はいらっしゃるかな?」

シロ:
「両親はいません。兄弟が何匹かいましたが今は別れ別れです」

ご隠居:
「そうか天涯孤独か…それにしても何匹とは変わっているね」

ご隠居はさっそく掃除や用事をいいつけるが、シロはやったことのないことばかりなのでトンチンカンな結果になってしまう

ご隠居:
「やかんがチンチンいってるから、下してくれないか?」
元犬やかん
シロ:
「チンチンは苦手なんですけどねえ…あ!今は人間の足だから簡単か!はいチンチン」

と背筋を伸ばし 両手を胸の前で持ってきてチンチンのポーズ
だんだん手に負えなくなってきたご隠居は女中のモトを呼ぶ

ご隠居:
「モト~モトやモトはいぬか?

シロ:
「はい!今朝人間になりました

オチと方言について

オチの部分はご隠居の「(女中の)モトは居ぬか?」をシロが「元は犬か?」聞いて「はい今朝人間になりました」と受けたダジャレオチ

ちなみに私は尾張地方の出身なので”やかんがチンチン”と聞いて「あ、やかんが沸騰してるんだな」ということはわかりましたが、熱いことをチンチンというのが方言ということに結構最近気がつきました(^^;

よく考えると都会の街中で使用すると怪しい言葉ですね笑

落語一覧へ



関連記事

千両みかん

落語 千両みかんのあらすじ 紀伊国屋文左衛門はみかんで財を成せたか?

千両みかん 大店の若旦那が夏の盛りに病気になってしまった 日に日に衰えていき、食べ物も喉

記事を読む

御神酒徳利

落語 御神酒徳利(おみきどっくり)のあらすじ 実はエリート?番頭の役割とは

御神酒徳利 江戸の大きな旅籠で大掃除の最中に、主人の先祖が将軍家より頂いた家宝の御神酒徳利がな

記事を読む

落語 宗論のあらすじ 宗論はどちらが勝っても釈迦の恥

宗論 店が忙しいというのに若旦那が朝から姿を見せない。 番頭の話によると どうやら若旦那はキ

記事を読む

傘

落語 道灌のあらすじ 太田道灌は和歌に疎かった?

道灌 ご隠居のところへやってきた長屋の八っつあん。今日も馬鹿話をしている。そのうち絵の話になり

記事を読む

落語 悋気の火の玉(りんきのひのたま)のあらすじ 二人が火花を散らした場所とは

悋気の火の玉(りんきのひのたま) 遊女を身請けして根岸に妾宅を与えた花川戸 橘屋の旦那

記事を読む

三年目花嫁

落語 たらちねのあらすじ 女子が目指した武家屋敷への奉公について

たらちね 人は良いが貧乏なためになかなか嫁の来手がなかった八五郎に長屋の大家さんが縁談を持ち込

記事を読む

つる

落語 つるのあらすじ 江戸時代鶴は食用にされていた?

つる ご隠居の家に遊びにきた八五郎今日も今日とて馬鹿話をしている そのうちこの間見た鶴の掛軸

記事を読む

紙入れ

落語 紙入れのあらすじ 命がけだった江戸時代の不倫

紙入 出入り業者の新吉のところに得意先のおかみさんから手紙が届く 今晩は旦那が帰らないから云

記事を読む

落語 猫の忠信のあらすじ オチと義経千本桜のパロディー部分を解説

猫の忠信 次郎吉が長唄の稽古に行こうと同じ長屋に住む六兵衛を誘いにくるが 六兵衛はもう馬鹿馬鹿しく

記事を読む

落語 王子の狐のあらすじ 王子稲荷と実在する扇屋について

王子の狐 王子稲荷にお参りに来た熊五郎 その帰りに不思議な光景を目にする。狐が頭に葉っぱ

記事を読む

Message

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

落語 野ざらしのあらすじ オチの馬の骨だったか!の意味とは?

野ざらし 長屋の八五郎が隣に住む先生の元をたずねる。 昨晩

落語 化け物使いのあらすじ 驚愕の奉公人の年間休日数とは?

化け物使い 人使いの荒いことで有名なあるご隠居 朝から晩まで働

馬
落語 付き馬のあらすじ オチの馬に行けとは?遊郭での勘定のルール

付き馬 吉原遊郭のある店に金持ち風の男がと登楼してくる。その晩

落語 黄金餅のあらすじ 西念が飲み込んだ金について

黄金餅 ケチ坊主の西念が病で寝込んでいると聞いて隣に住む金兵衛が

金蔵
落語 味噌蔵のあらすじ 防火対策の目塗りとは?

味噌蔵 ケチで有名な商屋の旦那の奥さんに男の子が生まれたというと

→もっと見る

PAGE TOP ↑