*

落語 紀州のあらすじ 徳川宗家と御三家将軍継承について

公開日: : 最終更新日:2019/06/21 滑稽噺 ,

紀州(きしゅう)

七代将軍の家継が8歳の若さで亡くなってしまった。

跡継ぎがいないため、八代目の将軍は御三家のうち尾張か紀州の徳川家から迎えることとなった。

将軍が決まるという朝、尾張の尾州公が籠で江戸城に向かう途中、鍛冶屋の前を通ると刀を打つ音がする。

トンテンカン、トンテンカン

野心的な尾州公にはこの音が

テンカトル、テンカトル(天下取る)

と聞こえてきた。
刀
尾宗公:
「これは吉兆。次の将軍の座は余のものだな」
と上機嫌で登城する。

大広間 尾州公、紀州公揃ったところで老中が尾州公の前へ進み出て

老中:
「天下万民のため任官あってしかるべし」

八代将軍に就任するよう求められたが、あまりあっさり引き受けてしまうと、ありがたさがないと思い一度は断ることにした尾州公

尾宗公:
「余は徳薄くして任にあたわず」

すると老中は
老中「承知つかまつりましてございます」

とあっさりあきらめて引き下がってしまう
次に老中は紀州公の前へ

紀州公は

紀州公:
「天下万民のためならば」
と快諾し八代将軍は紀州公にめでたく決まってしまった

がっかりして帰る途中、再び鍛冶屋の前で刀を打つ音は相変わらず

テンカトル、テンカトルと聞こえるが

やがて鍛冶屋が真っ赤になった刀身を水の中へ入れると

キシュー(紀州)

御三家と八代将軍継承について

七代将軍徳川家継が夭逝してしまい、家康から続いてきた徳川宗家の血筋が途絶えてしまいます。

こういう事態に備えて、尾張、紀伊、水戸の三藩に御三家が控えとして創設されています。

この噺に登場するのは尾宗公=尾張の徳川継友 紀州公=紀伊の徳川吉宗ですが、水戸の徳川綱条(つなえだ)も候補に挙がっていました。

吉宗の母親は農民の出身で、血筋的には尾張の継友、年齢では水戸の綱条でした。

しかし紀州の藩主として12年の経験、藩の財政を黒字化した実績と6代将軍家宣の正室 天英院の後押しで八代将軍に抜擢されたと言われています。

噺と異なる点は、徳川実紀によると吉宗は「本家、老臣の公議に従う」と一度退きますが、幕臣一同の意見が一致していると告げられると任を受けたということです。

落語一覧へ



関連記事

六尺棒

落語 六尺棒のあらすじ 江戸時代放火犯の末路とは

六尺棒 道楽者で遊んでばかりいる大店の若旦那。今日も遅くまで飲んでしまい深夜に帰宅する。

記事を読む

小間物かんざし

落語 小間物屋政談のあらすじ サゲのしょい(背負い)とは?

小間物屋政談 働き者で評判の小間物屋 相生屋小四郎。 江戸から上方へ行商に行くことを伝えるた

記事を読む

紅葉

落語 千早振るのあらすじ 江戸時代の豆腐事情とは

千早振る ご隠居のところに熊さんが血相を変えて転がり込んでくる。 娘が百人一首に凝りだし

記事を読む

落語 質屋蔵のあらすじ オチの流される~利上げせよの意味は?

質屋蔵 伊勢屋の質草を預かる蔵に怪奇現象が起こるという噂が立つ。本当かどうかわからないが 放っ

記事を読む

開帳

落語 開帳の雪隠(かいちょうのせっちん)のあらすじ 回向院で行われた出開帳とは

開帳の雪隠 両国回向院のそばで子供相手に駄菓子屋を営んでいる老夫婦 今は出開帳の真っ最中

記事を読む

傘

落語 道灌のあらすじ 太田道灌は和歌に疎かった?

道灌 ご隠居のところへやってきた長屋の八っつあん。今日も馬鹿話をしている。そのうち絵の話になり

記事を読む

長屋

落語 小言幸兵衛(こごとこうべえ)のあらすじ 江戸時代の大家の仕事について

小言幸兵衛 小言ばかり言っているのでみんなから"小言幸兵衛"とあだ名を付けられている長屋の大家

記事を読む

目黒のさんま

落語 目黒のサンマのあらすじ 大名や武士が食べなかった魚とは

目黒のさんま 秋の晴れた日に家来を伴って遠乗りに出かけた さる国の殿様 目黒の辺りに着いた所

記事を読む

紀州

落語 妾馬(めかうま)のあらすじ 町娘がいきなり大奥へ?本当にあった?

妾馬(めかうま) ある日 長屋の大家さんのところに身なりのいい武士が訪ねてくる。 先ほど

記事を読む

落語 化け物使いのあらすじ 驚愕の奉公人の年間休日数とは?

化け物使い 人使いの荒いことで有名なあるご隠居 朝から晩まで働きづめにさせるせいで 紹介され

記事を読む

Message

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

落語 野ざらしのあらすじ オチの馬の骨だったか!の意味とは?

野ざらし 長屋の八五郎が隣に住む先生の元をたずねる。 昨晩

落語 化け物使いのあらすじ 驚愕の奉公人の年間休日数とは?

化け物使い 人使いの荒いことで有名なあるご隠居 朝から晩まで働

馬
落語 付き馬のあらすじ オチの馬に行けとは?

付き馬 吉原のある店に金持ち風の男がと登楼してくる。その晩 男は

落語 黄金餅のあらすじ 西念が飲み込んだ金について

黄金餅 ケチ坊主の西念が病で寝込んでいると聞いて隣に住む金兵衛が

金蔵
落語 味噌蔵のあらすじ 防火対策の目塗りとは?

味噌蔵 ケチで有名な商屋の旦那の奥さんに男の子が生まれたというと

→もっと見る

PAGE TOP ↑