*

落語 居残り佐平次のあらすじ サゲのおこわにかけるとゴマ塩だからの関係は?

公開日: : 最終更新日:2019/10/14 分かりにくい落ち, 滑稽噺 , ,

居残り佐平治

遊び人の佐平次が仲間に品川の遊郭に繰り出して派手にやろうと提案する。

佐平次:
「お前たちの割り前は俺が預かるから後の分は俺に任せろ」

その晩は芸者も総揚げし幇間も呼んでのどんちゃん騒ぎ

翌朝、「お金は母親に届けてくれ、しばらく俺はここで養生するから」と頼んで仲間を見送ると自分は居残って朝からまた飲み始める。

当時の品川は海が近く魚はうまいし酒もすすむ。朝風呂に入り出るとまた酒を注文したり…
居残り佐平次魚
とそこで店の若い者が「一度お勘定を…」と催促するが

佐平次:
「夜になれば昨夜の連中がまたやってくる、また昨日の続きだってことで陽気に飲んで、帰りは俺も一緒。勘定はその時だ。商売人ならもう少し気をまわしてほしいもんだな」
うまいことはぐらかされてしまう。

その夜、佐平次は一人で飲み始めたが昨日の一行はやってこない。店の者がおかしいと思い佐平次を取り囲むとなんと一文無しだと開き直る。

腹は立つが、ないやつから金を取りようがない。ただ一文無しに座敷を占領されてちゃあ商売にならないということで、佐平次は布団部屋に軟禁されてしまう。

その晩店は若い衆もてんてこ舞いの大忙し、どう考えても人手が足りてないようで勝五郎という常連客を待たせてしまっている。

遊女はこないわ、刺身につける醤油はないわで、そろそろ我慢も限界というところで、ひょっこりと醤油を持って現れる佐平次
居残り佐平次刺身
佐平治は勝五郎を上手くおだてて酒やご祝儀までもらってしまった。後から部屋に来た遊女に「この男は店の者ではなく居残りの男だ」と明かされても勝五郎は悪い感じはしない。

機転はきくし幇間のように酒の相手ができて話も達者。いつも間にか馴染みの客が出来て “居のどん、居のどん”と座敷に指名が入るようになる。
居残り佐平次酒
そうなると面白くないのは店で働く若い衆。居残りに仕事を取られていると主人に掛けあった。これには主人もいつまでも居残りを放っておくわけにいかなくなる。

若い衆:
「おい、居残りさん」

佐平次:
「へい、今度はどちらのお座敷で?」

若い衆:
「御座敷じゃない。主人があんたに話があるそうだ」

店の者から苦情を受けている主人は佐平次に、勘定は後でもいいから帰ってくれないかと頼み込むが、ここで佐平次はとんでもないことを白状する。

佐平次:
「実は私はお尋ね者でして、ここから出るとあっという間にお縄を頂戴してしまいます。もうしばらく匿ってはもらえませんか?」
居残り佐平次御用となる
そんなことを聞く前ならいざ知らず、聞いてしまってはいつまでもここに置いておくわけにはいかない。お金はいいから早く出て行ってくれと頼むが、先立つものがないという。

結局、逃亡用の路銀だけでなく、着物、帯、紙入れなども佐平次にうまいことせしめられてしまう主人。佐平次は悠々と店を出て行く。

すぐに佐平次が捕まるのではないかと気になった主人は店の若い衆に後をつけさせるが、お尋ね者にしてはどうものんびりしていて様子がおかしい。不審に思って声を掛けてみると。

若い衆:
「おい、居残りさんよ やけに上機嫌じゃねえか。逃げる気はあるのかい?」

佐平次:
「おう、おまえも遊郭で飯を食っていくんなら俺のことは覚えときな。俺は居残りを生業にしている人呼んで居残り佐平次っていうんだ」

だまされたことに気が付いた若い衆は店に戻ると主人に顛末を報告する

主人:
「なんてやつだ。どこまで人のことをおこわにかけるんだ」

若い衆:
それは旦那の頭がゴマ塩ですから…

オチのおこわにかけるとゴマ塩について

遊郭で御馴染みの吉原の通称が北なら 品川は南と呼ばれていました。品川宿は表向きは遊郭ではなく個々の宿屋に表向きは宿の従業員という体裁で働き、夜には客の相手をする飯盛り女という女郎がいました。

サゲの「おこわにかける」とは「一杯食わされた」「騙された」という意味になりますが、現代では解説がないとまったくわからないため、こういうパターンもあります。

路銀や着物をせしめて堂々と表から帰って行く佐平次の後姿を見て
若い衆:
「旦那 どうして裏から返さないんです?」
主人:
「裏を返されたらたまらない」
裏を返す=遊郭でリピーターになるという意味で「あんな奴にもう一度来られたらたまらないよ」という考えさせるオチ

裏を返すという用語も落語ファンには御馴染みかもしれませんが、こちらもちょっと通じにくいかもしれませんね^_^;

落語一覧へ




関連記事

落語 片棒

落語 片棒のあらすじ

片棒 けちが服を着て歩いているとケチで有名な赤西屋の大旦那。人呼んで赤西屋ケチ兵衛。 若いこ

記事を読む

落語 猫の災難のあらすじ

猫の災難 酒は飲みたいが買う金はない そんな八五郎のところへ猫が鯛の頭をくわえてやってきた。猫

記事を読む

落語 宿屋の敵討のあらすじ 敵討ちのルール色々

宿屋の敵討ち 宿場町の旅籠に一人旅の武士が泊まりに来た。疲れているので静かな部屋を所望するとさ

記事を読む

大店

落語 薮入りのあらすじ 薮入りの意味と江戸時代の休みについて

薮入り 奉公に出た息子の亀吉が久しぶりに帰ってくることになった。 三年ぶりに会える息子の

記事を読む

落語 王子の狐のあらすじ 王子稲荷と実在する扇屋について

王子の狐 王子稲荷にお参りに来た熊五郎 その帰りに不思議な光景を目にする。狐が頭に葉っぱ

記事を読む

相談

落語 あくび指南のあらすじ 江戸時代人気のあった習い事とは?

あくび指南 町内にできた「あくび指南」の道場の看板を見て、新しいもの好きの男が興味を持つ ただ一

記事を読む

落語 お菊の皿(皿屋敷)のあらすじ どこにあるのかお菊の井戸

お菊の皿(皿屋敷) 町内のヒマな若い衆がご隠居の元をたずねる。目的は「今度皆で肝試しをしたいが

記事を読む

落語 宗論のあらすじ 宗論はどちらが勝っても釈迦の恥

宗論 店が忙しいというのに若旦那が朝から姿を見せない。 番頭の話によると どうやら若旦那はキ

記事を読む

落語 質屋蔵のあらすじ オチの流される~利上げせよの意味は?

質屋蔵 伊勢屋の質草を預かる蔵に怪奇現象が起こるという噂が立つ。本当かどうかわからないが 放っ

記事を読む

寝床

落語 寝床のあらすじ 義太夫とは何か?

寝床 義太夫に凝ってしまった大店の旦那。本人は素人としてはなかなかの腕前と思い込んでいるが、聞

記事を読む

Message

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

落語 野ざらしのあらすじ オチの馬の骨だったか!の意味とは?

野ざらし 長屋の八五郎が隣に住む先生の元をたずねる。 昨晩

落語 化け物使いのあらすじ 驚愕の奉公人の年間休日数とは?

化け物使い 人使いの荒いことで有名なあるご隠居 朝から晩まで働

馬
落語 付き馬のあらすじ オチの馬に行けとは?

付き馬 吉原のある店に金持ち風の男がと登楼してくる。その晩 男は

落語 黄金餅のあらすじ 西念が飲み込んだ金について

黄金餅 ケチ坊主の西念が病で寝込んでいると聞いて隣に住む金兵衛が

金蔵
落語 味噌蔵のあらすじ 防火対策の目塗りとは?

味噌蔵 ケチで有名な商屋の旦那の奥さんに男の子が生まれたというと

→もっと見る

PAGE TOP ↑