*

落語 子は鎹(かすがい)のあらすじ かすがいとは?タッカーとの違いとオチの意味も解説

公開日: : 最終更新日:2021/07/26 人情噺, 分かりにくい落ち ,

子はかすがい

遊女に入れあげた挙句 女房と大喧嘩をしてしまった大工の熊五郎。愛想を尽かせた女房のおみつは息子の亀吉を連れて家を出て行ってしまう。

それから三年の月日が流れた。女とは結局別れてしまった熊五郎は心を入れ替えて大工の仕事に精を出す。元々腕のいい大工だったため、仕事は順調そのもの
子はかすがい大工
となると出て行ったおみつと亀吉のことが気になってしかたがないが自分の蒔いた種なのでどうしようもない。

ある日の仕事帰り、亀吉と偶然にも再会を果たす。大きくなった亀吉にこの三年のことを色々と尋ねる熊五郎

亀吉の話によると女房は内職の針仕事をしているが 再婚はしておらず何かと不自由なことも多いようだ。言われてみれば少々ボロを着ているのが気になった。

熊五郎:
「おっかさんはおとっつぁんのことを悪く言ってるだろう?」

亀吉:
「そんなことないよ おとっつぁんは腕は良いんだけど、不器用で少々お酒が過ぎるとことが珠に瑕だ 悪いのはお酒だって言ってるよ」

遊女なんかにのぼせて家族を失ったことを公開している熊五郎。亀吉と翌日うなぎを食べに行く約束をすると、別れ際に小遣いを渡す。
子はかすがいうなぎ
熊五郎:
「おとっつぁんと会ったことと小遣いのことは内緒だぞ」
と元気に走って行く亀吉を後ろから見送った。

ところが亀吉は家に帰ると熊五郎から貰った小遣いをおみつ見つけられてしまう。亀吉が盗んだと思ったおみつは問いただすが、亀吉は内緒にするという約束があるから熊五郎から貰ったというわけにはいかない

おみつ:
「人様のお金を盗むなんて情けない。正直にお言い。でないとこのおとっつぁんの玄翁(げんのう)でぶつよ!これはおとっつぁんがおまえを叩くのと同じだよ!」

亀吉:
「盗んだんじゃない おとっつぁんから貰ったんだ」

泣きながら昼間に熊五郎に会ったこと おみつのことを心配していること 明日ウナギを食べる約束をしたことを打ち明ける亀吉

翌日、おみつは亀吉に晴れ着を着せて送り出すが、心配なので鰻屋の入り口までついてくる

亀吉がそのことを熊五郎に言うと熊五郎はおみつ会って今までのことを謝りまた三人そろってやり直そうという話に

おみつ:
「また元通りやり直せるのはこの子のおかげ 本当に子は鎹(かすがい)ですね」
亀吉:
「え?おいらが鎹だって?そうか だから昨日玄翁(げんのう)でぶつと言ったんだ

鎹(かすがい)とは

別名:子別れ。夫婦仲を繋ぎとめておくという意味で子は鎹とよく例えられます。この噺も亀吉が二人の中を取り持つ結果となっています。

かすがいとは木材と木材を繋ぎとめておくための両端が曲がって、針が出ている大きな釘のこと。木と木の間にセットして金槌で両者が離れないように叩きこみます。

このような使用方法が「おいらが鎹?どうりで玄翁でぶつと言ったんだ」という噺のオチに繋がっています。
※玄翁は早い話が金槌です

大工さん以外には馴染みの薄い道具ですが、百均などでも手に入るタッカーの大型の物を思い浮かべてもらうとよいと思われます。

タッカーの方は専用の器具でホッチキスの芯のような形状の金具を打ち込みますので、金槌は使いません。落語には登場する機会はなさそうです^^;
電線を壁や柱に這わせるためのステップルと鎹(かすがい)は似ていますが、用途が異なります。

落語一覧へ




関連記事

孔子

落語 二十四孝(にじゅうしこう)のあらすじ 中国の書物二十四孝とは?

二十四孝(にじゅうしこう) 乱暴者の熊五郎が大家さんのところへ駆け込んでくる 何でも母親

記事を読む

阿武松(おうのまつ)

落語 阿武松(おうのまつ)のあらすじ 大関が最高位だった江戸時代の番付

阿武松(おうのまつ) 京橋の武隈という親方の元へ能登の国から若い者が手紙を持って尋ねてきます。

記事を読む

落語 猫の忠信のあらすじ 義経千本桜のパロディー部分を解説

猫の忠信 次郎吉が長唄の稽古に行こうと同じ長屋に住む六兵衛を誘いにくるが 六兵衛はもう馬鹿馬鹿しく

記事を読む

御神酒徳利

落語 御神酒徳利(おみきどっくり)のあらすじ 実はエリート?番頭の役割とは

御神酒徳利 江戸の大きな旅籠で大掃除の最中に、主人の先祖が将軍家より頂いた家宝の御神酒徳利がな

記事を読む

花魁

落語 紺屋高尾(こうやたかお)のあらすじ 廓言葉について

紺屋高尾 働き者で生真面目な染物屋の久蔵がこのところ寝込んでしまっている 心配した親方が

記事を読む

三年目の幽霊

落語 三年目のあらすじ 死者の髪の毛を剃る意味とは?

三年目 病気の妻をやさしい夫が一生懸命に看病するが、一向によくならない。 自分の死が近づいて

記事を読む

夜

落語 品川心中のあらすじ 心中失敗 実際に生き残った方はどうなる?

品川心中 品川の遊郭白木屋で売れっ子だった遊女のお染だが、寄る年波には勝てず、最近では客がめっ

記事を読む

居残り佐平次

落語 居残り佐平次のあらすじ サゲオチのおこわにかけるとゴマ塩だからの関係は?

居残り佐平治 遊び人の佐平次が仲間に品川の遊郭に繰り出して派手にやろうと提案する。 佐平次:

記事を読む

長屋

落語 小言幸兵衛(こごとこうべえ)のあらすじ 江戸時代の大家の仕事について

小言幸兵衛 小言ばかり言っているのでみんなから"小言幸兵衛"とあだ名を付けられている長屋の大家

記事を読む

首ったけ

落語 首ったけのあらすじ 吉原から遊女の逃亡を防いだ仕組みとは?

首ったけ 吉原の馴染みの花魁 紅梅がなかなかやって来ないので座敷で一人イライラしている辰

記事を読む

Message

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

落語 野ざらしのあらすじ オチの馬の骨だったか!の意味とは?

野ざらし 長屋の八五郎が隣に住む先生の元をたずねる。 昨晩

落語 化け物使いのあらすじ 驚愕の奉公人の年間休日数とは?

化け物使い 人使いの荒いことで有名なあるご隠居 朝から晩まで働

馬
落語 付き馬のあらすじ オチの馬に行けとは?

付き馬 吉原のある店に金持ち風の男がと登楼してくる。その晩 男は

落語 黄金餅のあらすじ 西念が飲み込んだ金について

黄金餅 ケチ坊主の西念が病で寝込んでいると聞いて隣に住む金兵衛が

金蔵
落語 味噌蔵のあらすじ 防火対策の目塗りとは?

味噌蔵 ケチで有名な商屋の旦那の奥さんに男の子が生まれたというと

→もっと見る

PAGE TOP ↑