落語 おみたて
花魁の喜瀬川のもとへ田舎者のお大尽 木兵衛(もくべえ)が尋ねてくる
喜瀬川は「野暮で乱暴者の木兵衛の相手はしたくない」と店の若い衆にわがままを言い始めた
困ったのは若い衆 喜瀬川が会えない理由を木兵衛に言い訳しなくてはならない
そこで「喜瀬川は病気だ」と嘘をついて帰ってもらおうとするが、「病気なら見舞いに行こう」と返されてしまう
困った若い衆は
若い衆:
「実は先日 喜瀬川は病気で亡くなりまして あなた様に会いたいと最期まで申して息を引き取りました」
これであきらめるだろうと思った若い衆だったが木兵衛は「喜瀬川とは夫婦になる約束をしていたのに」と号泣
木兵衛:
「せめて墓参りをさせてくれ 墓はどこにあるんだ?」
懇願する木兵衛に「ず~っと遠くです」とでも言っておけばいいものを お寺や墓地が多いことからうっかり「山谷です」と言ってしまう若い衆
そのせいで「山谷なら近いから今から案内してくれ」という流れに
山谷に着いた二人 若い衆は仕方がないので適当な寺に入って適当に墓を選ぶ
若い衆:
「旦那様こちらの墓です」
木兵衛は涙を流しながら念仏を唱えるが、よく見ると戒名の下に「居士」と彫ってあるので男性の墓
若い衆はまたまた別の墓に案内するが今度は「童子」と彫ってあり子供の墓というのがバレてしまう
イライラしてくる木兵衛は
木兵衛:
「おい!いったいどれが本当の喜瀬川の墓なんだ?」
若い衆はたくさん並んでいる墓石の方を指差して
若い衆:
「あちらにたくさん並んでおりますからどうぞお見立て願います」
落語 お見立てオチと意味の解説
落語 おみたてについて
お見立てとは店の格子の奥に控えている遊女を客が表から見て選ぶこと。(早い話が指名です)
若い衆は遊女を探しに来た男性客に「よろしいのをお見立て願います」と登楼を促したそうです
喜瀬川のわがままのために その場しのぎの嘘をつき続ける羽目になる若い衆、最後は苦し紛れに 「並んでいる墓石から好きなのを選んでください」というからちょっとシュールなオチになります
居士と彫ってあったのでバレてしまいますが、もし「信女」や「大姉」となっていたらごまかしきれたのでしょうか(笑)
※余談ですが現代では写真指名全盛で こういう本人確認ができるのは飛田新地くらいでしょうか?