*

落語 長屋の花見のあらすじ 江戸時代の桜の種類とは

公開日: : 最終更新日:2019/08/03 滑稽噺 , ,

長屋の花見

ある日貧乏長屋の住人達に大家さんから呼び出しがかかる。

誰もまともに家賃なんて払ってないからきっとその催促だ
場合によっちゃあいよいよ追い出されるのかと長屋の住人達は戦々恐々としながら大家さんのところへ

すると意外なことに大家さんからの呼び出しの理由はこのようなことだった

大家:
「うちの長屋は世間から貧乏長屋、貧乏長屋と呼ばれて景気が悪くってしかたがない。

今日はみんなで花見にいって陽気に騒いでひとつ貧乏神を追い出そうじゃないか

もちろん酒や肴はこちらで用意したから安心しとくれ。

このとおり一升瓶にこの重箱の中にはカマボコと卵焼きが入ってる
なあに心配するなみんなわたしのおごりだよ」
重箱
大家さんの意外な提案に長屋の住人は大喜び、さっそく上野の山へ向かうことになった。

上野の山に着いてみんなでさあ盛り上がろうというところで大家さんの種明かし

一升瓶の中身はお酒ではなく番茶を煮出して薄めたもの
カマボコは大根のコウコと卵焼きの正体は黄色いタクワン

住人:
「さすがは貧乏長屋の大家さんだ これじゃあガブガブのボリボリだよ」
大家:
「まあいいじゃないか。こっちが気分良く盛り上がれば周りから見たら酒盛りしてるように見えるさ」

妙なパフォーマンスに付き合わされることになった住人達は楽しそうに振舞うのに四苦八苦

住人「じゃあお茶…じゃなかった酒をついでくれ おっとっと!おうそんなについで俺に恨みでもあんのか」

大家:
「さあさあ熊さん玉子焼きを食べとくれ」
熊:
「すいやせん 最近歯が悪いもんで」
大家:
「卵焼きを食べるのに歯なんて関係ないだろう」
玉子焼き
大家:
「八つっあんもカマボコをおあがんなさい」
八:
「へえ 私はこれをしょっちゅう食べてまして。細かく刻んで刺身の添え物にもしますし、腹の具合が悪いときなんかカマボコおろしにいたしやす」
大家:
「カマボコおろすなんて、そんなやつがあるかい」

と中身がニセモノなだけになんだかチグハグ

そこへ住人の一人が

住人:
「大家さん大家さん、近々この長屋にいいことがありますよ」
大家:
「どうしてだい?」
住人:
「茶碗の中に酒柱が立っております

江戸時代の花見スポット

桜
江戸の桜の花見スポットで有名だったのは上野の寛永寺、飛鳥山、御殿山、墨堤(隅田川)でした。

しかし上野の寛永寺の桜は三代将軍徳川家光が天海僧正のために植えた由緒正しい桜だったので、境内での飲食や鳴り物などは禁止されており、静かに風流に見るしかなかったそうです。
(当時の寛永寺は今と比べ物にならないほどの敷地面積でした)

長屋の熊さん八つっあんのような住人達にとっては退屈な場所ではなかったでしょうか。

桜というと現代ではソメイヨシノが思い浮かびますが、江戸時代にはなく明治に入ってから今のように植えられ始めたため、長屋の花見に出てくるのは彼岸桜だったと考えられます。

桜の開花には時間差があり、上野の彼岸桜を見たら今度は谷中の枝垂れ桜、御殿山の八重桜と各地の桜を見て歩き江戸の人々は春を満喫したと言われています。

落語一覧へ




関連記事

高田馬場

落語 高田馬場のあらすじ 人気があった敵討ちについて

高田の馬場 浅草奥山観音様の境内、参拝客を当て込んだ出店や大道芸などを目当てに訪れる観光客もあって

記事を読む

大山詣り

落語 大山詣りのあらすじ 江戸時代の行楽だった寺社参拝

大山詣り 長屋の男衆が揃って大山詣りに出かけることになった。行楽半分、信心半分の旅ではあるが、

記事を読む

居残り佐平次

落語 居残り佐平次のあらすじ サゲオチのおこわにかけるとゴマ塩だからの関係は?

居残り佐平治 遊び人の佐平次が仲間に品川の遊郭に繰り出して派手にやろうと提案する。 佐平次:

記事を読む

落語 お菊の皿(皿屋敷)のあらすじ どこにあるのかお菊の井戸

お菊の皿(皿屋敷) 町内のヒマな若い衆がご隠居の元をたずねる。目的は「今度皆で肝試しをしたいが

記事を読む

小間物かんざし

落語 小間物屋政談のあらすじ サゲのしょい(背負い)とは?

小間物屋政談 働き者で評判の小間物屋 相生屋小四郎。 江戸から上方へ行商に行くことを伝えるた

記事を読む

天狗裁き

落語 天狗裁きあらすじ

天狗裁き 亭主の熊が昼寝をしながらブツブツと寝言を言っているのを女房のおみつが見ている。

記事を読む

つる

落語 つるのあらすじ 江戸時代鶴は食用にされていた?

つる ご隠居の家に遊びにきた八五郎今日も今日とて馬鹿話をしている そのうちこの間見た鶴の掛軸

記事を読む

骨董

落語 金明竹(きんめいちく)のあらすじ 出てくる道具は何なのか?

金明竹 甥っ子の松公を預かることになった道具屋の主人だったが 松公はどこか抜けていて、何をやら

記事を読む

寿限無

落語 寿限無(じゅげむ)のあらすじ 寿限無とは仏教語?

寿限無 熊さん夫婦の家に男の子が生まれます。 その子供に名前をつけるのが親としての最初の

記事を読む

落語 天災のあらすじ

天災 どんな些細なことにも噛み付く怒りっぽいことで有名な熊五郎 今日も女房と喧嘩をしたよ

記事を読む

Message

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

落語 野ざらしのあらすじ オチの馬の骨だったか!の意味とは?

野ざらし 長屋の八五郎が隣に住む先生の元をたずねる。 昨晩

落語 化け物使いのあらすじ 驚愕の奉公人の年間休日数とは?

化け物使い 人使いの荒いことで有名なあるご隠居 朝から晩まで働

馬
落語 付き馬のあらすじ オチの馬に行けとは?遊郭での勘定のルール

付き馬 吉原遊郭のある店に金持ち風の男がと登楼してくる。その晩

落語 黄金餅のあらすじ 西念が飲み込んだ金について

黄金餅 ケチ坊主の西念が病で寝込んでいると聞いて隣に住む金兵衛が

金蔵
落語 味噌蔵のあらすじ 防火対策の目塗りとは?

味噌蔵 ケチで有名な商屋の旦那の奥さんに男の子が生まれたというと

→もっと見る

PAGE TOP ↑