滑稽噺

落語 看板のピンのあらすじ ちょぼいちのルールとは

落語 看板のピン

若い衆が集まるサイコロ賭博にこの道ではかなり年季の入った渋い親分がふらりと現れる。

若い衆:
「親分ここはひとつ景気づけに胴をとってくだせえ」
親分:
「俺は42歳のときに博打はきっぱりやめたんだ。今日は久しぶりに覗きにきただけだ」
若い衆:
「まあ、そういわずに景気づけにやっておくんなさいよ」
親分:
「そこまでいうなら久しぶりにもんでやるか」
さいころ賭博
凄みたっぷりのセリフを吐き、胴元の席で壷を振る親分。しかし親分が伏せた壷皿の脇にサイコロが転がり出ていて一(ピン)の目になっている。

若い衆たちは親分も焼きが回ったのかなと戸惑いながらも、こいつはいただきとばかりにいっせいに一(ピン)に張る。

親分:
「おまえらの張る目は偏ってて面白しれえな。それじゃこの看板の一(ピン)は片付けてと」

それはないと慌てる若い衆たちに親分は

親分:
「勝負は壷の中だ。おまえたちは最初から目の出たサイコロで勝負しようってのか?俺の睨んだところ壷の中は五とみたね」

そして親分が壷を上げると、現れたサイコロの目は親分が言った通りだった。

親分:
「今回は俺が相手だからいいが、博打なんてもんは何がおこるかわかりゃしねえ。こんな遊びは大怪我しねえうちにやめときな」

と言うと親分は蕎麦でも食いなと若い衆に小遣いをくれて去っていく。
看板のピン小判
それをかっこいい、どうしても真似がしたいと一人の間抜けな男が別の賭場へ

男:
「俺は42のときに博打はきっぱりやめたんだが…」
若い衆:
「何言ってんだおまえはまだ26だろう」

無理やり胴元(親)になり、親分の真似をしてサイコロの一の目を転がして

男:
「さあ張った張った。おまえらの張る目は偏ってて面白れえじゃねえか断っとくがこぼれた一(ピン)は看板で勝負は壷の中だ」
若い衆:
「そのサイコロは看板かい。そりゃねえだろうよ」
男:
「博打なんてもんは何がおこるかわかりゃしねえ。これに懲りたら大怪我しないうちにやめちまいな。俺の睨んだところじゃあ壷の中は五だ」

そういって壷を上げると、なんと中の目も一(ピン)だった。

落語 看板のピン サイコロを使った博打の種類について

落語 看板のピンについて。

サイコロを使った博打はいろいろあります。2つ使うのは丁半博打とチンチロリン。今回は1つなのでチョボイチというもの。

ルールは単純で1つのサイコロの目を当てあうというもの。胴元(親)になったものが壷を振り、掛ける側(子)が一から六までの数字に掛け金を置く。数字が当たれば胴元から4倍の金額をもらい、負ければ掛け金は胴元のものになるというルール。

江戸時代、幕府は何度も賭博禁止令を出しましたが、江戸市中から賭場がなくなることはなかったようで、それどころか大名の下屋敷内で行われることもあったようです。

大名屋敷内までは捜査の手が回らないということで大変都合のいい場所だったということです。

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