*

落語 芝浜のあらすじ 江戸時代財布をネコババしたら

公開日: : 最終更新日:2019/05/07 人情噺 , ,

芝浜

腕前はいいのだけど、酒ばかり飲んで何日も仕事に行っていない魚屋の勝五郎

女房は暮れも押し迫って正月を迎える金もないからと朝から勝五郎をたたき起こし、家を追い出して仕事に行かせた。

しかし芝の河岸に着くとまだ誰もいない。すると時を知らせる鐘が聴こえてきた。どうやら女房に一刻(二時間ほど)早く起こされたらしい。

しかたがないので浜辺で顔を洗ったりしていると、波打ち際に革の財布を見つける。

中を見てみると小判がザクザク五十両。勝五郎は慌ててそれを懐に入れると急いで家に戻ってきた。
芝浜小判
女房:
「おまえさん早いね。仕事はどうしたの」
勝五郎:
「そんなもん、もうやめだこの金があれば働かなくても楽が出来る祝い酒と行こうじゃねえか」
と長屋の飲み仲間を呼んでドンちゃん騒ぎ、そのまま酔いつぶれて寝てしまった。

あくる朝、女房に
女房:
「おまえさん仕事に行っておくれよ」
勝五郎:
「なに言ってんだ?昨日の五十両があるだろう?」
女房:
「五十両って何さ?しょうがないねえ、夢でもみたんだね」

金を拾った夢を見るなんて情けねえ、唖然とする勝五郎、それからは酒をやめ身を粉にして働くようになった。元々腕はいい勝五郎、3年経つ頃には、小さいながらも表通りに店を構えるまでになる。

そして大晦日のこと
芝浜除夜の鐘
女房:
「ねえ、おまえさん、ちょっと話があるんだけど、私の話が終わるまで怒らないで聞いてくれるかい?」
勝五郎
「なんだい改まって。なんだかわからないが約束しようじゃないか」
そこで女房は3年前の五十両の件を切り出した。

五十両、本当に拾ってきたと。大家さんに相談したら勝五郎のためにならないから夢だということにしてごまかせという助言に従ったこと。

五十両は落とし主が見つからなかったので、こちらに戻ってきたがそれを言うと真面目に働きだした勝五郎が元に戻ってしまうのではないかと思い言い出せなかったこと。

聞き終わって最初は怒った勝五郎だったが、女房の心遣いに感謝の言葉を口にする。喜んだ女房は3年ぶりに「好きなお酒を飲んでほしい」と勝五郎にすすめるが、勝五郎は杯を口まで持っていくと

勝五郎:
「やめとこう。また夢になるといけねえ」

勝五郎の商売について

芝浜魚
勝五郎が表通りに店を構えるまでは天秤棒の両端に商品を下げて売り歩く棒手振り(ぼてふり)という形態で魚を売り歩いていたと思われます。

魚に限らず棒手振りのような行商人の扱う品物は草履、野菜、油など多種多様で地方から出てきて、元手の少ない人間が始めるにはもっとも簡単にはじめられる商売でした。

3年で表通りに店を構えられたということは勝五郎の魚の目利きや包丁の腕前は確かだったといえそうです。

勝五郎が拾った財布について

江戸時代、落し物を拾ったら拾った人がまずその周辺に拾ったことを記した立て札を立て、落とし主が現れなければ町奉行に届け、奉行所でそれを公開することになっていました。

落とし主が現れると拾った人に報労金が支払われるのは現代と変わりませんでしたが現代の約一割と比べると江戸時代の比率は非常に高く50パーセントだったといわれます。

落とし主が現れなければ半年で拾った人のものになり、それは現代とそれほど変わりませんでした

ちなみにネコババすると現代では遺失物横領罪で「一年以下の懲役、または十万円以下の罰金、もしくは科料」となりますが、江戸時代では十両盗めば死刑と決まっていたので、窃盗ではないとはいえ定吉の妻の言う「首が飛ぶ」というのも大げさな話ではなかったといえそうです。

落語一覧へ

関連記事

心眼タイトル

落語 心眼のあらすじ 薬師如来(薬師様)のご利益とは?

心眼 按摩の梅喜が目が見えないことを弟に馬鹿にされて帰ってくる 悔しがる梅喜を励ます女房

記事を読む

文七元結

落語 文七元結のあらすじ 文七が身を投げる決意をした金額について

文七元結 長屋に住む長兵衛は左官屋として確かな腕前を持ちながら、博打に目がなく、仕事をそっちのけに

記事を読む

猫の皿払った三両

落語 三方一両損のあらすじ 大岡越前守実際はどのような人物だったか?

三方一両損 左官屋の金太郎が柳原あたりで財布を拾う。なんと財布の中身は三両もの大金と書付と印行

記事を読む

柳田かくのしん

落語 柳田格之進(やなぎだかくのしん)のあらすじ 庶民の娯楽だった囲碁

柳田格之進 万屋の主人に招かれて碁を囲む浪人の柳田格之進 そこへ店の番頭が50両の集金を終え

記事を読む

花魁

落語 紺屋高尾(こうやたかお)のあらすじ 廓言葉について

紺屋高尾 働き者で生真面目な染物屋の久蔵がこのところ寝込んでしまっている 心配した親方が

記事を読む

花魁

落語 お見立てのあらすじ オチの解説 サゲのお見立てくださいの意味は?

おみたて 花魁の喜瀬川のもとへ田舎者のお大尽 木兵衛(もくべえ)が尋ねてくる 喜瀬川は「

記事を読む

落語 野ざらしのあらすじ オチの馬の骨だったか!の意味とは?

野ざらし 長屋の八五郎が隣に住む先生の元をたずねる。 昨晩先生と一緒にいた女は誰なのか?

記事を読む

三年目の幽霊

落語 三年目のあらすじ 死者の髪の毛を剃る意味とは?

三年目 病気の妻をやさしい夫が一生懸命に看病するが、一向によくならない。 自分の死が近づいて

記事を読む

落語 ぞろぞろのあらすじ 雨の日に履かれたのは草履?

ぞろぞろ 少々荒れ果てたお稲荷さんの隣で茶屋を営んでいる老夫婦。茶屋だけではたいした儲けになら

記事を読む

火炎太鼓

落語 火焔太鼓(かえんだいこ)のあらすじ 道具屋とサゲオチのオジャンについて

火焔太鼓 人はいいのに商売が下手な道具屋の店主 甚兵衛 お客が「いい箪笥だね」褒めれば「

記事を読む

Message

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

落語 野ざらしのあらすじ オチの馬の骨だったか!の意味とは?

野ざらし 長屋の八五郎が隣に住む先生の元をたずねる。 昨晩

落語 化け物使いのあらすじ 驚愕の奉公人の年間休日数とは?

化け物使い 人使いの荒いことで有名なあるご隠居 朝から晩まで働

馬
落語 付き馬のあらすじ オチの馬に行けとは?

付き馬 吉原のある店に金持ち風の男がと登楼してくる。その晩 男は

落語 黄金餅のあらすじ 西念が飲み込んだ金について

黄金餅 ケチ坊主の西念が病で寝込んでいると聞いて隣に住む金兵衛が

金蔵
落語 味噌蔵のあらすじ 防火対策の目塗りとは?

味噌蔵 ケチで有名な商屋の旦那の奥さんに男の子が生まれたというと

→もっと見る

PAGE TOP ↑