落語 化け物使い
人使いの荒いことで有名なあるご隠居
朝から晩まで働きづめにさせるせいで 紹介されてくる奉公人はすぐに
「あなた様のように人使いが荒くては辛抱できかねます。お暇をください」
みんな同じことを言って辞めていってしまう
残ったのは権助と言う奉公人だけだったが ご隠居が新居へ引越しをすることになるとその権助まで辞めると言い出した
ご隠居:
「権助 おまえまで人使いが荒いと言うのか?」
権助:
「そうではありません。ご隠居が引っ越そうとしているのは化け物屋敷です。そんなところへは付いていけません」
奉公人が一人もいなくなってしまったが 新しい人を探そうにも引越し先が化け物屋敷だと知ると みんなが逃げ出してしまい結局ご隠居一人で化け物屋敷に引っ越すことに
どうにか新居に引っ越して夜一人で食事をしていると なんだか空気が生温かい まわりを見回してみると部屋の隅に知らない子供が立っている
よく見てみると子供には目がひとつしかない
一つ目小僧だ!
と普通の人は逃げ出すだろうが ご隠居相手にそうは行かなかった
ご隠居:
「ちょうどいい お膳を片付けて、洗い物をしなさい」
掃除が終わるとアレをしなさいコレをしなさいと人間同様にこき使うご隠居 一通り仕事が片付くと
ご隠居:
「明日はもっと早い時間に出てくるんだぞ」
奉公人までついてくるとは しかも人間ではなく化け物だから給金もいらない 良い家に引っ越せたと喜ぶご隠居
次の日も一つ目小僧が出てくるのを待っていると現れたのは見上げるような大入道
今度も驚くどころか 重いものを運ばせたり薪を割らせたりこき使うご隠居
翌日さあ今度は何が出るかなと楽しみに待っていると どういうわけか子狸が一匹現れた
毎日現れる化け物の正体はこの子狸が化けていたらしい
ご隠居の前で狸はうなだれながらつぶやいた
子狸:
「あなた様のように化け物使いが荒くては辛抱できかねます。お暇をください」
落語 化け物使い休みのない江戸時代の奉公人
落語 化け物使いのオチは化物屋敷の怪異の正体は実は子タヌキ。化かそうとしましたがご隠居の人並外れた人使いの荒さにまいってしまい「お暇をください」と降参するというものです。
江戸時代の奉公人は通常 主人の店の居住スペースに住み込むことが当たり前でした。
しかも休日は薮入りと称して与えられる2日間。年間休日たったの2日!住み込みということは24時間拘束なので現代の常識と比べると紛れもなくブラック企業!
ちなみに商店ではなく棒手振りのような個人経営の人たちは雨が降ったり適当な日に休んでいたようです。衣食住が保障されているとはいえ、自由時間の少ない奉公人は大変だったでしょう。
人使いが荒いとか荒くないとか以前の問題です(笑)
サービス残業や過重労働、パワハラなんて概念のない時代。噺のようなご隠居(店の主人)は落語的キャラクターではなく、珍しくなかったかもしれません…
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