落語 寝床
義太夫に凝ってしまった大店の旦那。本人は素人としてはなかなかの腕前と思い込んでいるが、聞く人にとっては唸り声を聞かされているだけで苦痛でしょうがない。
今日はその義太夫をみなに聞かせてやろうと 番頭の佐兵衛に聞き手を集めるために長屋や取引先をまわらせている
しかし
・成田山へお参りに行く
・提灯の注文が大量に入った
・義太夫があると聞いて梯子から落ちてけがをした
何かと理由をつけてくる長屋どころか店の使用人達も来る気配がない
旦那:
「佐兵衛 おまえは来るんだろうね」
佐兵衛:
「もちろんです。私は腹を括りました」
旦那は酒まで用意してみんなに楽しんでもらおうと思っているのに、そんなに私の義太夫が聴きたくないなら取引もしないし、使用人にも出て行ってもらうとカンカン
追い出されては大変だと長屋の連中や取引先が集まってきたので、旦那は機嫌を直し、めでたく義太夫が始まった
しかし、どの顔も頭を低くしてまるで災難が上を通るのをやり過ごすかのよう。しまいには旦那が御簾(みす)越しに語っているのをいいことに、出された酒を飲んでグウグウ寝てしまう始末
独演会が終わり、旦那はみなが寝ているのに気が付くと怒りだすが、端っこで店の丁稚の定吉だけが泣いている
義太夫の良さが分かるなんてエラい!喜ぶ旦那が定吉に
旦那:
「どこが悲しかった?やはり政岡の子別れの場面だな?あそこは語る方も涙が出るところだ」
定吉:
「そんなところじゃありません、あすこです」
定吉が指を差したのは、旦那が義太夫を語っていた場所
定吉:
「あすこは私の寝床です」
義太夫とは
義太夫とは三味線に合わせて独特の節回しで語る浄瑠璃のようなもの。三味線の伴奏で歌うというよりも語る方にウエートを置いています。
一人で何役もこなし、男性、女性、年齢、喜怒哀楽で声色を演じ分ける必要があり、見よう見まねでやるとかなり悲惨なことになるでしょう^_^;
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