落語 らくだのあらすじ
図体が大きい割りに働かない その上乱暴者
そこで素行の悪さからついたあだ名がらくだという男
そんならくだが亡くなっているのを訪ねてきた兄貴分の男が発見する。
人並みに弔いをしてやりたいが兄貴分には先立つものが無い。
そこへ偶然くず買いの商人が通りかかる。「家の中にあるものを買い取れ」という兄貴分だったが くず買いは知っている。
らくだの家には買い取る価値があるものがない。「それなら仕方がない」と兄貴分は「町の連中から香典と通夜の料理を集めてこい」と強引に頼み込む。
商売道具を没収されてしまったくず買いは 月番のところへ行ったり大家さんのところへ行ったり、奔走するが 香典やお供えを出すどころか らくだが死んだことを喜ぶ人ばかり
らくだの人望のなさに途方に暮れる紙くず屋だったが 香典だけは「慶事だと思って集めてやる」と月番の首を縦に振らせることに成功する。
しかし大家さんは「らくだは一度も家賃を払ったことがない そんな奴に酒も料理も出せるか!」と断られてしまう。
手ぶらで帰ってきた紙くず買いを兄貴分は叱責する
兄貴分:
「らくだには身寄りがない。死骸の引き取り手がないからお宅へ持ってきます
それだけでは芸がないのでかんかん能をお見せします そう言っとけ」
気が進まないがもう一度 大家さんのところへ使いに行く紙くず買い
兄貴分に言われたとおり らくだの身体でかんかん能をご覧に入れますと伝えると
大家:
「そんな嫌がらせにいちいち怯んでたんじゃあ 大家なんてつとまらない。見せてもらおうか!死者のかんかん能とやらを!」
お望み通り見せてやろうと 兄貴分は嫌がるくず買いにらくだの死骸を背負わせて 自分は死骸を操りながら歌うものだから さすがの大家さんも降参する。
しばらくすると らくだの家に香典と夜伽見舞いのお酒や料理が届く
上機嫌の兄貴分。「弔いの用意が整ったのはおまえのおかげだ 一杯やってくれ」とくず屋に勧めるが くず屋は一刻も早く仕事に戻りたくて仕方がない
「死骸を担いだんだから酒で清めていけ」と無理やり飲ませる兄貴分だったがこれが間違いだった
酒を飲んで気分がよくなってきたくず屋は饒舌に話し出す
もともとは店を構えていたが今はくずを集めている
今は再婚した妻子と住んでいるがなぜか前の妻に逃げられた
それもこれも酒のせいだ
語りだしたかと思ったら だんだんと酒癖の悪さが出てきてしまう。
くず屋:
「ぼちぼちらくだの髪を剃り落として仏さんにしてやるか おい!三軒先の床屋で剃刀借りて来い!」
兄貴分:
「俺はこの町初めてなんだぞ?いきなり行って貸してくれるわけがない」
くず屋
「四の五の言うなら らくだのかんかん能を御覧に入れる!こう言ってやれ!」
酒のせいで立場が逆転してしまったようだ
まいったなあ…酒なんて飲ますんじゃなかった…
結局借りてきた剃刀で出鱈目にらくだの髪を剃り落とすと古い漬物樽にらくだの遺体をねじ込んで 二人で片棒ずつ担いで火屋(火葬場)へ向うことに
火葬場に向おうとはいうものの 二人とも酒を飲んでいるせいで足元がおぼつかない よろけた拍子に漬物樽が傾いて らくだの遺体を落としてしまった
軽くてありがたいが中身がないなら火屋へ行っても仕方がない。二人で探しに行くと橋の袂で裸で大の字になっている男がいる。
酒を飲んで前後不覚で眠っている願人坊主なのだが 辺りが暗い上に二人とも酔っ払っている
しかも坊主頭ときた。願人坊主をらくだの遺体と勘違いして漬物樽の中に放り込んで 火屋へ向う。
「さあ焼いてやるから成仏するんだぞ」と願人坊主は生きたまま火屋へ放り込まれたからたまらない
願人坊主:
「あちちち ここはどこだ?」
くず屋:
「ここは火屋(冷や)だよ」
願人坊主:
「なに?冷や?冷やでもいいからもう一杯!」